映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』あらすじ・キャスト・感想(評価)・まとめ

映画

 下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第18作。

 人生の最期を迎えるマドンナを前に、寅次郎とさくらの兄弟愛が温かく灯り、生と死を前にした人々の優しさや想いを描いたお話です。

 映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。

映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』概要

公開日:1976年12月25日

上映時間:104分

配給:松竹

観客動員数:172万6000人 (前作は168万5000人) 

配給収入:10億8600万円 (前作は9億7400万円)

 

ロケ地…上田(長野県)、別所温泉(長野県)、六日町(新潟県)

 

【スタッフ】

監督・原作…山田洋次

脚本…山田洋次、朝間義隆

撮影…高羽哲夫

音楽…山本直純

美術…出川三男

映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』あらすじ

 旅から帰ってきた寅次郎は、家庭訪問にやってきた満男の産休教師・雅子を見てうっとりしてしまいます。満男の両親であるさくらや博を差し置いて雅子と内容のない話をし、さらに博のことを見下した物言いをする態度にとらやは大喧嘩。拗ねた寅次郎、また旅に出てしまいます。

 長野県上田の別所温泉で旅芸人の一座と再会すると、芝居を観た晩に座員たちに大盤振る舞いをしました。しかし会計が払えなくなりさくらを呼び、無事にとらやへ帰ることができた寅次郎。

 ここまでのことに呆れたさくらは、娘ほど年が離れる女性を寅次郎がうっとりと見たことについて触れ、せめてその母親ならともかくっとこぼします。するとたまたま母親を連れた雅子がとらやにやってきて、母・綾の美しさに寅次郎は夢中になってしまいます。

 結婚では苦労したものの、生粋のお嬢様で世間の物事をあまり知らない綾のことを、娘の雅子はフォローしながら、ばあやと3人で暮らしましたが、綾は病気で3年間にもわたる入院生活を送っていました。

 やっと退院することになりましたが、実はそれは余生を自宅で過ごすというもの。それを本人は知りません。雅子はそのことを、満男の用で学校を訪れたさくらに打ち明けるのでした。 

 最初は比較的元気で、日中に寅次郎が遊びに行ったり、散歩をしに行ったりしていましたが、しばらくすると綾の体調は悪くなり熱が下がらなくなってしまいます。同じく事実を知らない寅次郎は綾の異変を知り……。

映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』キャスト紹介

車寅次郎…渥美清

 14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。

 

諏訪さくら…倍賞千恵子

 寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。

 

柳生綾…京マチ子 《マドンナ》

 柴又で古くから栄えていた柳生家の娘です。生粋のお嬢様。破産寸前だった実家を助ける為に、戦争成金と結婚しましたが離婚。病気がちで3年間入院していました。

 

御前様…笠智衆

 柴又帝釈天のご住職です。

 

車竜造(おいちゃん)…下条正巳

 寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。

 

車つね(おばちゃん)…三崎千恵子

 おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。

 

諏訪博…前田吟

 共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。

 

小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄

 とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。

 

諏訪満男…中村はやと

 博とさくらの一人息子です。

 

源公…佐藤蛾次郎

 帝釈天の寺男をしています。

 

柳生雅子…檀ふみ《ゲスト》

 満男の小学校の教師で、産休補助で満男のクラスに入りました。柳生綾の娘で、いわばお嬢様のお嬢様。両親は離婚して母子とばあやの3人で暮らしています。担任がクラスに戻ってくると、新潟県六日町にある小学校の、清水分校に転任。

 

婆や…浦辺粂子《ゲスト》

 柳生家に昔から仕えている使用人のばあやです。敬虔なクリスチャン。

映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』感想(評価)

 熱が出てきて下がらずにいる綾の姿は、涙目になっていて実にリアリティが出ていました。肌の感じもとても上手く作ってありました。華やかでありながら体調の悪さをしっかりと出している。これは京マチ子さんだからこそ演じることができたようにも感じます。すごいです。

 そして綾が危ないかもしれないと勘づいた時、寅次郎は不安や恐れを感じて浮足立つ感情のままに純な気持ちに正直にとにかくすぐに動き、それに対するさくらはそうなる衝動を理性でなんとか抑えようと必死に冷静さ保ち迅速な判断を繰り返す。

 その対照的な兄弟の姿には人間というものを感じさせられ、生と死に人がどう向き合うかを目の当たりにさせられました。

 直面したくない最も恐ろしい現実。確かに人はこうなるなと、つい涙が溢れてきました。そこでの兄弟愛は言葉にできないものがあります。

 そしてさくらという人物は、人間性のとても素晴らしい人だと改めて感じました。

 また雅子演じる檀ふみさんのお芝居は、京マチ子さんとは対照的で、地味でありながら細部に至るまでしっかりと感情が動いているのが観てとれます。おもしろいです。

映画『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』まとめ

 あらゆる対照でみせるこの作品。いざという時人はどうするか、そんなことを考え感じさせる内容でした。さくらの振る舞い、受け芝居に涙です。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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