なぜ自分はこんなにもいつも孤独なのだろう。誰かがそばにいてくれたとしても、心にはぽっかりと穴が開いている。その気持ちを和らげたいと恋愛依存の深みにはまっていく彼女。反発しながら本能のままに必死で生きるけれど、自分でも気付いていないことが一つありました。
そんな彼女を同じく本能のままに、必死で守ろうとする夫の深すぎる愛。
それぞれの愛の果て、ふたりが行き着く場所は……。恋愛観が変わってしまうかもしれない作品です。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』のあらすじ、キャスト、感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』概要
公開日:2017年10月28日
上映時間:123分
【スタッフ】
監督…白石和彌
脚本…浅野妙子
原作…沼田まほかる 「彼女がその名を知らない鳥たち」 (幻冬舎文庫)
2006年に刊行されたミステリー小説です。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』あらすじ
毎日何とも言えない欲求不満さを抱えている十和子は、不潔で何の取り柄もない夫をまるで単なる同居人のように思って過ごしていました。わずかばかりのお金をもらえれば、顔も見たくないような存在。そんな十和子は8年前の恋人・黒崎を思い出しては物思いにふけります。
ある日大事にしていた時計が壊れたとデパートにクレームをつけに行くと、素敵なひとりの男性に出会います。十和子の関心はその男性・水島に注がれ、いつしか二人は時々ベッドをともにする仲になります。そんな水島もまた妻との愚痴をこぼし、十和子を抱くのでした。
しかし時間が経つにつれ水島に邪険の扱われるようになり、十和子はずっと恋しく思っていた黒崎に電話をかけてしまいます。すると数日後刑事が十和子のもとにやってきます。刑事は黒崎が5年前から失踪している事実を十和子に話します。
いろいろな不安から逃れるように水島との密会を続ける十和子。ホテルからの帰りのタクシー、ふと横を見ると夫・陣治がその様子を見ていることに気付きます。恐怖を感じ始める十和子は、もしかしたら黒崎の失踪の理由は陣治にあるのではないかと疑います。
しかしその犯人は……彼女が知らないだけで、十和子の最も近くにいたのです。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』キャスト紹介
【キャスト】
北原十和子…蒼井優 (ダブル主役)
恋愛依存症の既婚女性です。
儚くて危なっかしい。夫は15歳年上の年の差婚です。
佐野陣治…阿部サダヲ (ダブル主役)
下品で下劣で貧相、地位もお金もなく、妻に嫌がられながらも執着心を隠さない、真面目で誰よりも十和子を愛する十和子の夫です。
水島真…松坂桃李
デパートで働く社員です。
国枝カヨ…村川絵梨
黒崎の妻です。祖父が会社経営者のお金持ち。
黒崎俊一…竹野内豊
8年前に別れた十和子の元カレです。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』感想(評価)
十和子の恋愛依存ぶりは、崩れ落ちるほど儚くて危なっかしくて、迫力と説得力がありました。誰かが支えていないと崩れてしまう、壊れた人形のような人間をとてもよく体現されていました。蒼井優さんの得意分野かもしれませんね。ハマっていました。
陣治の十和子への愛は計り知れず正直究極の愛で、涙が出てしまいました。ここまで愛されることがあるんだと、十和子は実は誰よりも幸せだったのではないかとさえ感じてしまいました。
十和子と陣治だったからこそ、こういった恋愛になって本当にふたりの独特な相性が作り出す世界観ではありましたが、お互いにとっていなくてなならない存在だったと、そういう意味ではベストマッチで唯一無二の関係性だったと思います。
この作品は破滅の愛を描いた芸術作品のようにも感じました。
人間同士の相性は計り知れません。嘘のない人間くさいお話でした。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』まとめ
人を愛すること、それは綺麗ごとではなく人間の本能で、時として思いもよらぬ深みにはまってしまう。
人の心は脆いからこそ美しいものでもあります。かげろうのような儚い美しさにどっぷりつかることができるお話です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。