愛した人は殺人犯なのか、愛する人を“信じる”とは？
ひとつの残忍な夫婦殺人事件をきっかけに、人間に根源的な問いかけをする重厚なヒューマンミステリーです。
“怒り”とは誰に、そしてどこに向けられたものなのか。
映画『悪人』タッグが手掛ける意欲作、映画『怒り』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
映画『怒り』概要
公開日：2016年9月17日
上映時間：142分
【スタッフ】
監督…李相日
原作…吉田修一
原作者の吉田修一の意向で、物語の登場人物には映画『オーシャンズ11』のようなオールキャストを配してほしいとの要望で、豪華俳優陣が集結しました。
映画『怒り』あらすじ
夏のある日に八王子で何者かによる夫婦殺人事件が起こります。現場の壁には『怒』の漢字一文字が。その犯人は整形をして逃亡、今だ行方をくらませていました。
事件から一年が経ち、日本の各地で3人の謎の男が現れます。
千葉では前歴不詳で2か月前に漁港でアルバイトを始めた田代。東京では夜のバーでひとりでうずくまっていた無職の直人。そして沖縄では無人島にやってきた謎のバックパッカー田中。
突然千葉の家を飛び出し、東京の歌舞伎町の風俗店で働いていた愛子を、漁師の父・洋平は見つけて連れて帰ります。それから父に毎日弁当を届ける愛子は田代に出会い、心を通わせます。ふたりは洋平の許しを得て同棲を始めました。幸せに満ち溢れる田代と愛子。
昼間は仕事に奔走、夜はクラブなどで出会う男と一夜限りの関係を続ける優馬には、末期がんの母がいますが、そんなとき夜のバーで直人に出会い、彼のその純粋な優しさに惹かれ心を許すようになっていました。愛が芽生える優馬と直人。
母の私生活で夜逃げ同然に離島に移ってきた高校生の泉は、無人島に遊びに行くと、バックパッカーでそこに簡易的に寝泊まりしている田中に出会います。
そんな中警察は犯人の顔写真を公開。整形されたその顔は、最近知り合ったあの人になんとなく似ている。
それとほぼ同時に3人の謎の男は、突然姿をくらませるのでした。その行動に不信感を抱き、男たちに関わった者たちは、真実を知ろうとし始めます。そこで突きつけられたものとは。
映画『怒り』キャスト紹介
洋平…渡辺謙
千葉の漁港で働く漁師です。娘を心配しいています。
愛子…宮崎あおい
3か月前に家出し歌舞伎町で働いているのを父に助けられ、千葉に戻ってからは父と田代のお弁当を作っています。
田代…松山ケンイチ
父の借金を背負い金融機関から逃げていると話している、漁港でアルバイトを始めた男性です。
田中…森山未來
無人島で暮らしているバックパッカーです。
泉…広瀬すず
母が男と問題を起こし、離島に夜逃げのようにして移住してきた高校生です。那覇で事件に巻き込まれ、心を閉ざします。
藤田優馬…妻夫木聡
大手通信会社に勤める独身男性です。夜がクラブによく行っていました。母が末期がん。
大西直人…綾野剛
夜のバーでひとりうずくまっていた28歳の男性。優馬と親しくなります。
藤田タカコ…原日出子
優馬の母で、末期がんです。
カオル…高畑充希
直人と同じ施設で育った、直人を兄だと慕う女性。
カツミ…三浦貴大
八王子で起きた夫婦殺人事件を追う刑事です。
映画『怒り』感想(評価)
全てのキャストの演技がすごかったです。特に愛子演じる宮崎あおいさんは、感情がそのまま動いているようにも見えるほど、臨場感がありました。
また田代の目の色が変わっていくお芝居も、まるで海外の俳優のようでとても見ごたえがあって、おもしろかったです。
原作者がキャストにこだわったわけがわかりました。どの役もキャラクターが立ち、難しい感情も繊細に現している。実力派ぞろいだからこその作品でした。
お話の内容も実に深く、私は怒りは愛するものを信じることができなかった自分に向けられているように思いましたが、皆さんはいかがでしょうか。様々な見解や感想が出る作品だと思うので解釈は100通り。何度も観たい映画になりました。
映画『怒り』まとめ
影を持つ人間に出会い惹かれ、心を許して愛が育まれてこれからという時、怪しいきっかけがなんとなくその相手にあてはまったなら、その人を信じぬくことが私たちにはできるのでしょうか。
このお話は愛することに真正面から挑んだ作品でもありました。“怒り”という激しい感情から、いろんなことを考えさせられる物語。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。