山田洋次が構想から15年後にようやく映画化に踏み切った作品です。
中心となるエピソードには実話を組み込み、懸命に生きる人々の学びたい、もっと愛されたいという想いをまっすぐに描いた物語。
この映画により、夜間中学校は一気に知名度アップしたようです。
映画『学校』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
映画『学校』概要
公開日:1993年11月6日
上映時間:128分
【スタッフ】
監督…山田洋次
脚本…山田洋次・朝間義隆
製作…中川滋弘・深澤宏(プロデューサー)
音楽…冨田勲
撮影…高羽哲夫・長沼六男
配給…松竹
映画『学校』あらすじ
卒業式も近づいたある日、夜間中学の教師である黒井は、卒業文集のために作文の授業をしていました。何を書こうかと作文に向き合う生徒たちを見て、黒井は職業も環境も年齢も全く違う生徒たちのそれぞれの思い出を振り返っていきます。
不良少女のみどり、不登校だったえり子、脳性麻痺の修、焼き肉屋を経営するオモニ、日本に馴染めない中国人の張、昼間は働いているカズ、長年の肉体労働で勉強できずにきたイノさん。
イノさんはこれまで体を酷使してきたことがたたって、夏ごろからふるさとの山形県に帰り療養していますが、生徒ひとりひとりにはあらゆるエピソードがあり、黒井はいつでもそんな生徒たちと同じ目線で、一緒に困難を乗り越えようと必死に向き合ってきました。
そんなことを思い起こしているうちに給食の時間に。生徒たちがにぎやかに準備をしていると、黒井のもとに一本の電話がかかってきます。それはイノさんの訃報だったのです。
映画『学校』キャスト紹介
黒井先生…西田敏行
夜間中学で担任を持つ教師です。夜間中学に強い情熱を持っています。行きつけは屋台のラーメン屋。
イノさん…田中邦衛
夜間中学に通う、黒井の最年長の生徒です。長年の肉体労働で時間がとれず、50代になるまで読み書きを学ばずにきたことから、勇気を振り絞って入学することにしました。競馬が大好きでオグリキャップについては、誰よりも詳しく熱く語ります。
カズ…萩原聖人
清掃会社に勤務しながら夜間中学に通う、黒井の生徒です。少し不真面目ですがムードメーカー的な存在。えり子のことが好きで、車の免許を持っているのでデートに誘うこともあります。
えり子…中江有里
優等生タイプで優しい性格の、夜間中学の黒井の生徒です。仮面夫婦の家庭環境にもかかわらず、厳しい両親の影響で不登校になっていましたが、CMで夜間中学のことを知り入学しました。
田島先生…竹下景子
英語教師。教師として黒井に憧れています。イノさんに好意を持たれて返事に困り、黒井に代弁してもらいました。
八百屋の親父…渥美清
黒井の家の大家です。
映画『学校』感想(評価)
涙なしでは観ることができない映画です。実話を基にしているのはイノさんの物語。先日亡くなってしまった田中邦衛さんが演じたのが、このイノさんです。見ごたえのある場面がたくさんあるので、瞬きせずに観ていただきたいほどです。
その締めくくりのシーンで、「薬を飲んだんですが、効かないんです」と中国人の生徒たちが、隣のクラスで日本語を学んでいるワンフレーズが出てきますが、そこで思いもよらず泣かされてしまいます。山田監督のこの感覚は物凄いものがあります。
そして黒井先生はどのエピソードもまっすぐに、一緒にその場所まで行ってその生徒が体験していることをやろうとする。こんな先生がいたら多くの生徒が心を救われ、自分の生きる道をちゃんと自分で探せるのかもしれないと思いました。
また渥美清さんが出てくる場面は、その声からすぐにわかるので、山田洋次ファンにはとても嬉しい瞬間も用意されています。
映画『学校』まとめ
学びたい、できるようになりたい、こっちを見てほしい、どれも人間の本能でその思いに年齢や環境やこれまでの経緯は関係なく、いつからだってそれは叶えられる。そんなことを伝えてもらったような映画でした。
深く心に染みていく作品です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。