実在する昭和の大悪人・西口彰の連続殺人事件をもとに、リアリズムにこだわって作られた犯罪映画。ポン・ジュノ監督(『パラサイト』)も影響を受けたとしている作品です。
連続殺人犯の生い立ちや死刑執行までを辿った物語で、第3回日本アカデミー賞であらゆる賞を獲っています。
映画『復讐するは我にあり』あらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
映画『復讐するは我にあり』概要
公開日:1979年4月21日
上映時間:140分
【スタッフ】
監督…今村昌平
脚本…馬場当 (脚本の第一稿は池田俊策が書き、そのあとで馬場当が手を入れています。)
配給…松竹
映画『復讐するは我にあり』あらすじ
35歳の榎津巌は自身が務める職場である、専売公社の集計係の先輩2名を殺害し金を盗み、その後も詐欺を繰り返しながら逃走を始めます。
逃走中何人かの女性に出会う中で、両親の反対も聞かず赤ん坊ができてしまった女性と結婚。両親と自分と妻の4人で暮らすことにしました。子供も2人生まれ賑やかになりましたが、巌は変わらず逃走を続けます。
弁護士を装い他の事件の被害者の家族から金を預かるふりをして奪ったり、本物の弁護士に仕事の依頼があると言って家についていき、殺して金品を盗んだりする巌。そして指名手配されている巌は身を隠すため、人気のない目立たない安宿に身を寄せることにしました。
その宿でもまた彼は大変なことを繰り返していくのです。
映画『復讐するは我にあり』キャスト紹介
榎津巌…緒形拳
連続殺人犯です。父・鎮雄と妻・加津子の仲を疑っています。
榎津鎮雄…三國連太郎
巌の父親です。敬虔なクリスチャンです。
榎津かよ…ミヤコ蝶々
巌の母親です。巌をとても可愛がっています。病気になり療養しています。
榎津加津子…倍賞美津子
巌の妻です。巌の父の思いやりに心惹かれていってしまいます。
浅野ハル…小川真由美
旅館あさのを切り盛りしている女将です。
浅野ひさ乃…清川虹子
ハルの母親で人殺しの前科があります。
映画『復讐するは我にあり』感想(評価)
父・鎮雄が巌を通して自分には悪魔の血が流れていると言っていましたが、正直本当にそうだと思いました。これは悪魔を描いた作品です。
しかしその悪魔の部分は誰もが持っていることで、それを理性で止められるか、気づいていないか、またはそれを憎んでいるか、そういうことで表面化していないことなのではとも思いました。
だからこそこうして作品になっていて、包み隠さない人間の心理とそれを表現して伝える技術に高い評価が集まったのでしょう。
むき出しで生きている人間には、狂気の華が存在するように感じます。狂気が放つ、匂い立つ色気はまるで愛する人の体臭のようなものに近いのかもしれません。
愛する人が善人でも悪人でも病みつきになってしまう。とても危険ですが、そのスリルに人は虜になってしまうのですね。
そしてハルのように真実がわかったとしても、歪んだ愛や自分の精神状態から自分を守るために、信じてはいけないものにすがりついてしまうことも。
人間というものに嘘のないこの作品は、まさに大傑作です。
映画『復讐するは我にあり』まとめ
悪魔を描くのに、徹底的にリアリティを持たせた作品でした。
人間の隠しておきたい一面が、赤裸々に表現されている映画です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。