下町の人情喜劇映画である『男はつらいよ』シリーズの第1作目です。
昭和43年より全26回にわたり放送された、テレビドラマ「男はつらいよ」の最終回が寅次郎の家出で終わっており、それへの抗議を受けて作られた映画になっています。
映画『男はつらいよ』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
映画『男はつらいよ』概要
公開日:1969年8月27日
上映時間:91分
配給収入:1億1000万円
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、森崎東
配給…松竹
映画『男はつらいよ』あらすじ
家出をしてから20年ぶりに故郷である葛飾柴又に帰ってきた寅次郎。その日は帝釈天のお祭りで意気揚々と参加すると、御前様や親戚のおばちゃん、おいちゃんそして妹さくらと再会します。再び会えたことを喜ぶ一同。
翌日さくらの職場の部長の紹介でさくらのお見合いがあり、おいちゃんが一緒に行く予定でしたが二日酔いで行かれなくなってしまったので、代わりに寅次郎がついていくよう頼まれます。
高級ホテルでのお見合いにもかかわらず、全く作法の分からない寅次郎。その不作法な言動でさくらを困らせ、先方にも大ひんしゅくを買いお見合いは失敗に終わります。おいちゃんたちとそのことで大喧嘩をして、またしても柴又を去る寅次郎でした。
しかし京都で外国人観光客の相手をしているところに、たまたま親子で旅行に来ていた御前様とその娘・冬子にばったり会う寅次郎は、大人になって綺麗になった冬子を見て、恋心を抱きともに柴又へ帰ってきました。
夢見るような心持ちで「とらや」に帰ってきた寅次郎。あっけにとられるおいちゃんやおばちゃんをよそに、ある男女のことが気になり始めます。
共栄印刷で職工として働く博が、妹・さくらのことが好きで結婚したいと思っていることを知ると、さりげなくさくらに博のことをどう思っているのか聞きに行くのでした。
映画『男はつらいよ』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていました。異母兄弟の妹さくらがいます。
さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。第1作目ではまだ独身でしたが、博と結婚して子供を産みました。オリエンタル電機でキーパンチャー(情報処理するためのデータを入力する職業)をしています。
冬子…光本幸子 《マドンナ》
御前様の娘です。寅次郎とは幼馴染。子供時代は寅次郎に“出目金(でめきん)”とあだ名をつけられ呼ばれていました。第1作目では独身でしたが、大学教授とお見合い結婚します。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…森川信
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおいちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。さくらと恋愛結婚し子供を持ちます。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
中小企業の社長の大変さを、いつもとらやに来ては口にしています。
諏訪ヒョウ一郎…志村喬
博の父親です。息子である博の結婚式で、博には8年ぶりに会いました。
川又登…津坂匡章
寅次郎の弟分です。八戸出身。寅次郎のようになりたいと、とらに憧れています。
源吉…佐藤蛾次郎
帝釈天でいつも掃除などをしています。
映画『男はつらいよ』感想(評価)
とらはもちろん登場人物全ての温かい魅力や個性があふれる、何度観ても癒される第1作目です。
さくらのお見合いシーンは名シーンのひとつですが、これ以上言わなきゃいいのに次第に限度を超えて、なんとか笑わせて空気を和ませようとするとらの姿は、空白の20年間を想うと悲しくなってしまいます。さくらとはまるで育ちが違う。
そんな兄に困り果ていたさくらでしたが、「謝りなさい」と面と向かっていった時にとらにたたかれてから、さくらのとらへの言葉が変わってきたように感じました。
唯一の家族としてどんな時も兄を守らなければと思ったのか、さくらの心の優しさと器の大きさ、そして頭の良さに感服しました。
とらはヤクザな性格で真面目に生きることができない。そのことに自分でも気付いているが、だからこそ旅を続けるのである。ドジであるが人情にはとことん熱い。
どこに行っても愛される寅次郎の懸命に生きる姿と、彼を取り巻く人の本物の愛に温かさにどっぷり浸かったいい時間でした。
映画『男はつらいよ』まとめ
寅次郎と周りの人々の愛を存分に感じることのできる、エネルギーあふれる1作目です。
芝居の間に細かく入っている小芝居も、見どころのひとつですね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。