下町人情喜劇『男はつらいよ』 シリーズ第8作。
志村喬演じる博の父・ 飃 一郎の「庭先に咲いたりんどうの花」のエピソード、そして酔っぱらっている寅次郎とその仲間の前で、歌を歌わされる悲し気で健気なさくらのシーンが観られるのはこの作品です。
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』概要
公開日:1971年4月28日
上映時間:92分
配給:松竹
観客動員数:92万6000人 (前作は85万2000人)
配給収入:2億5000万円 (前作は2億3000万円)
ロケ地…備中高梁 (岡山県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…佐藤公信
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』あらすじ
さくらは「とらや」へ行く道中、八百屋で「そんなんだと寅さんみたいになっちゃうよ」と子供に叱る八百屋の声をきいてしまいます。帰ってくるなりそれを泣いて嘆くさくら。おいちゃんとおばちゃんもさくらの想いに賛同します。
そこへ帰ってきた寅次郎を異常に歓迎してしまい、違和感を感じた寅次郎は腹を立ててまたしてもすぐに飛び出して旅に出てしまいました。
そんな中最近帝釈天の門前に喫茶店を構えた貴子が挨拶にやって、また寅次郎がフラれて大変なことになるのを心配したとらやの人々は、2人を合わせないようにしようと気を遣います。
一方ある日、博の母が危篤であるという電報を受け取った博とさくらは、一目散に岡山の博の実家へ。到着すると母は亡くなった後ですぐにお葬式となりました。
お葬式の日にお焼香を進めていると、突然そこに寅次郎が現れます。しかし空気が読めず嫌がられてしまう兄・寅次郎に困り果てるさくら。
式などが終わり、博の兄弟家族が続々と帰る中で、寅次郎とも駅で別れたさくらであったが飃一郎に電話をしてみると、寅次郎はそのまま博の父・飃一郎のところに数日とどまり、顔には寂しさや感情を出さない飃一郎がひとりにならないように、そばにいるというのでした。
その晩に飃一郎は寅次郎に自分が体験した「庭先に咲いたりんどうの花」のエピソードを話し、人間の本当の生活というものについて考えるきっかけを与えました。それを聞いて身に染みた寅次郎は柴又に帰り……。
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
六波羅貴子…池内敦子 《マドンナ》
帝釈天の門前で喫茶店「ローク」を始めたシングルマザーです。小学生の一人息子がいます。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…森川信
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
中小企業の社長の大変さをとらやに来てはこぼしています。子だくさんの父親でもあります。
諏訪満男…中村はやと
博とさくらの一人息子です。
板東鶴八郎…吉田義夫《ゲスト》
芝居の巡業をする旅役者の一座の座長です。
大空小百合…岡本茉莉《ゲスト》
旅役者の板東鶴八郎の娘で、一座の看板女優です。
諏訪飃一郎…志村喬《ゲスト》
博の父親で、大学でインド哲学の研究をしている教授です。岡山の生家で暮らしています。
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』感想(評価)
有名な「庭先に咲いたりんどうの花」のエピソードをじっくり聞くことができて、自分も同じ部屋で飃一郎の話を聞いているようでした。それを聞いてすぐに実行に移してみようとする寅次郎の素直さを飃一郎は感じていたから、息子たちにも話していないことを伝えたのですね。
寅次郎のことをかわいいと思う飃一郎の様子は、ひきの絵でしたが買い物に行こうとする飃一郎の芝居にはっきりと出ていて、飃一郎の心の中にスーッと入っていくことができました。志村喬さんのお芝居は細かいところまで実に丁寧に作られています。見事に伝わってきました。
そしてそんなお芝居を志村さんが細かく丁寧に入れてあるので、後半の寅次郎の唯一の魅力が光る光る。名優の芝居は本当にすごいです。
映画『男はつらいよ 寅次郎恋歌』あらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめ
人の本当の姿を見抜く特技、人の本当の部分に寄り添うことができる天性の愛情、寅次郎にしかできないこと、寅次郎の人間としての本当の魅力が描かれている作品です。
シリーズの中でもおすすめの一作でもあります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。