下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第16作。
寅次郎が瞼の父に?学問をするのに年齢は関係ないと、勉強を始めようと思い立つその先は…。今回もまた寅次郎は失恋をしてしまうのか!
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』概要
公開日:1975年12月27日
上映時間:97分
配給:松竹
観客動員数:213万1000人 (前作は200万人)
配給収入:11億9100万円 (前作は9億3000万円)
ロケ地…寒河江(山形県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…出川三男
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』あらすじ
年に一度手紙と少しばかりのお金を送ってくるという瞼の父に会いたいと、修学旅行の際にとらやを訪ねる高校生(17歳)の順子。彼女の求めてきた瞼の父はなんと寅次郎でした。大変なことをしたと慌てふためくとらやの人々。
そこへ寅次郎が帰ってくると、彼女は寅次郎が一文無しで食べるものに困っている時に、食事を与えてくれた定食屋の雪の娘であることを話します。順子から母・雪が亡くなったことを知らされ、寅次郎は雪の故郷にすぐさま向かいます。
雪の墓がある慈恩寺へ行くと、そこの和尚から学問に関する論語を教えられました。その言葉が胸に刺さった寅次郎は、和尚に「人は何のために学問をするのか」と問います。和尚の答えは「己を知るためだ」というものであり、柴又に帰って学問をしてみようかと考え始めるのです。
柴又の喫茶店でコーヒーを飲みながら、それについて思考をめぐらしていると、横の席で本を読みながら勉強している礼子に出会います。学問をすることを応援する寅次郎は彼女と仲良くなりますが、なんと礼子はとらやの二階に下宿していたのです。しかも礼子は大学助手。
四十の手習いというものがあるように、学問を学ぶのはいつからでも遅くないと和尚に言われた言葉を思い出し、ここから寅次郎は礼子に家庭教師をしてもらい、勉強を教えてもらうことにするのでした。
礼子の美しさに真面目に勉強に取り組もうとする寅次郎。今年のお正月は柴又にいてとらやを手伝おうかなとなどとさくらに話していましたが……。
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
諏訪さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
筧礼子…樫山文枝 《マドンナ》
東京大学で考古学研究室の助手をしている御前様の親戚です。とらやの二階に下宿しています。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…下条正巳
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。
諏訪満男…中村はやと
博とさくらの一人息子です。
源公…佐藤蛾次郎
帝釈天の寺男をしています。
最上順子…桜田淳子《ゲスト》
寅次郎が一文無しで食べるものに困っている時に、食事を与えてくれた定食屋の女性・雪の娘です。母子家庭で育ち、寅次郎を本当の父とずっと思い、修学旅行の際にとらやを訪ねてきました。
轟巡査…米倉斉加年《ゲスト》
警視庁亀有警察署の帝釈天前派出所に勤務している巡査です。
慈恩寺の和尚…大滝秀治《ゲスト》
順子の母である雪のお墓がある慈恩寺の和尚で、寅次郎に論語を教えます。
田所教授…小林桂樹《ゲスト》
東京大学の考古学教授です。身なりに全くこだわらないが、知らないことないほどの物知り。チェーンスモーカー。恋愛は苦手で独身です。
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』感想(評価)
寅次郎は本当に義理堅い振る舞いをよくしますね。雪に対する年に一度の手紙。苦労人だからこそ、生きることのつらさを実感していて人の想いを大切にする。寅次郎の魂が、人生においてこういったあらゆることを経験したがっているのでしょう。毎回学ぶこと多しです。
また寅次郎が勉強を始めて(実際に学問は学んでいませんでしたが)、初めてとらやの手伝いを年末年始はしようかとさくらに話していたのには、とてもうれしい気持ちになりました。いずれそういった選択をして、とらやを寅次郎が継いでくれたらいいなあと心底思います。
今回はやはり難しかったですが、常に地道な暮らしを意識している寅次郎の姿は、背景にとらやの人々を想う愛情が隠されていて、心温かくなりますね。
大学助手の礼子の選択は、予想外だったので新鮮でした。
映画『男はつらいよ 葛飾立志篇』まとめ
慈恩寺の和尚の言葉と寅次郎の質問は、観ているこちら側にも大きな学びをもたらしたように思います。まさに生涯学習ですね。
早い遅いという言い訳に逃げずに、いつからでも勉強は自分に正直に思い切り取り組むべき事柄だとはっきりと感じることができました。
学問とは大学教授にしてみれば、恋愛というものも入るというくだりもあり、面白かったです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。