下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第21作。
今は無きSKD、そして浅草国際劇場が舞台となった、舞台に立つ踊り子たちの哀愁が描かれた物語です。
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』概要
公開日:1978年8月5日
上映時間:103分
配給:松竹
観客動員数:189万7000人 (前作は188万1000人)
配給収入:12億2800万円 (前作は11億1600万円)
ロケ地…田の原温泉(熊本県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…出川三男
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』あらすじ
なにをやるにも裏目に出てしまう熊本で酪農をする青年・留吉は、寅次郎との出会いにより心を改め、仕事に真剣に向き合うようになりました。
旅から帰った寅次郎は、柴又でさくらの同級生の紅奈々子と再会し、SKDのトップスターとして舞台で活躍する奈々子を応援しに行くために、毎日のように浅草国際劇場のレビューを観に行くのでした。
するとそこへ留吉が寅次郎にお礼を言いたいと上京してきます。寅次郎を頼りに来た留吉を、東京見物に連れていくという口実で、一緒に奈々子のレビューを観に行くと寅次郎。留吉はその舞台に夢中になり、好きな女性をまたしても追いかけるようになってしまいます。
一方紅奈々子は、10年来の恋人からプロポーズされ、結婚するか踊り続けるかで、真剣に悩んでいたのでした。
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
諏訪さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
紅奈々子…木の実ナナ 《マドンナ》
さくらの同級生で、寅次郎とも幼馴染です。SKDのトップスターで、結婚するか仕事(踊りを続けるか)で悩んでいます。恋人は劇場の照明技師です。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…下条正巳
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。
諏訪満男…中村はやと
博とさくらの一人息子です。
源公…佐藤蛾次郎
帝釈天の寺男をしています。
後藤留吉…武田鉄矢《ゲスト》
熊本で酪農をやっている青年です。女性にはフラれてばかりでしたが、寅次郎との出会いで真剣に仕事に向き合うようになりますが、上京し浅草でレビューをみるとそこでまた好きな女性ができ、音信不通になり実家の母に心配をかけています。
宮田隆…竜雷太《ゲスト》
浅草国際劇場で照明技師として働く、紅奈々子の恋人です。
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』感想(評価)
木の実ナナさん演じる紅奈々子は、とても華やかで素敵でした。恋人との間で揺れる姿は、紅奈々子としてはつらい局面でしたが、マンションの下で雨にうたれていた恋人・宮田の諦めきれない強い想いを受け取って胸に飛び込んだシーンは、なんだかホッとした気持ちになりました。
浅草国際劇場のレビューを舞台にしているところ、今は無くなってしまったものをこういった形で観ることができ、当時はSKDの宣伝回だったのだと思われますが、今となってはその歴史を知るとても貴重な回になっていると感じます。
映画『男はつらいよ 寅次郎わが道を行く』まとめ
レビューの華やかさと、そこでの踊り子たちの等身大の想いを知ることのできる、光を影が描かれたような内容でした。
人それぞれにわが道は異なりますが、誰にも共通してあるのは人生の岐路ですね。そんな時に観たくなる、そんな映画でもあるのかも知れません。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。