下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第28作。
シリーズのモチーフのひとつであるテキヤの哀れな末路が描かれ、寅次郎がこれからの生活を考えて就職試験を受けるという、新しい要素が入ってくるお話です。
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』概要
公開日:1981年12月29日
上映時間:101分
配給:松竹
観客動員数:144万8000人 (前作は182万1000人)
配給収入:10億1000万円 (前作は13億1000万円)
ロケ地…柳川(福岡県)、秋月城跡(福岡県甘木)、焼津(静岡県)、久留米(福岡県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…出川三男
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』あらすじ
大分県にある夜明という駅にある「夜明」という旅館で、満室のため家出娘・愛子との相部屋を女将から頼まれた寅次郎。まだ18歳という愛子は、話しているうちに寅次郎にすっかり懐いてしまいます。
ある日縁日で商売をしていると、ひとりの女性が昼食を食べようとしている寅次郎にぬか漬けを持って挨拶にやってきました。彼女は寅次郎のテキヤ仲間のカラスの常の女房・光枝で、実は常が病気になっているというのです。
それを聞いてすぐに常の見舞いに行くと、死期が迫っているのを感じて常は自分の死後、「光枝を頼む」とふたりで所帯を持ってくれるように話をします。
そうして常がしばらくして亡くなり、光枝が故郷の本郷の旅館で働き始めたという知らせを受けると、寅次郎は光枝に会いに行き、いつも彼女を気にかけるようになりました。
テキヤ稼業では所帯は持てないと、まずその支度として就職面接を受けに企業に行くと寅次郎は…。
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
諏訪さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
倉富光枝…音無美紀子 《マドンナ》
寅次郎のテキヤ仲間であるカラスの常三郎の妻です。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…下条正巳
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。
諏訪満男…吉岡秀隆
博とさくらの一人息子です。今作から満男役のキャスティングが変更されました。
源公…佐藤蛾次郎
帝釈天の寺男をしています。
小田島愛子…岸本加世子《ゲスト》
母親に恋人ができたのがきっかけで、高校を休学し家を飛び出してきた18歳の少女です。兄は遠洋漁業で外洋に出ているマグロ漁船の漁師。愛子の学費は、兄が工面しています。
倉岡常三郎…小林昭一《ゲスト》
寅次郎のテキヤ仲間のカラスの常です。酒・博打・女の全てをやる女泣かせの男。道楽がたたって病気を患っています。
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』感想(評価)
常のお願いに応えてやろうと、自主的に就職試験を受けてきた寅次郎の心意気には驚きました。寅次郎はこういう一面もあったのですね。熱い心の持ち主だからこそ、こういう発想に対してもスッと動くことができるのかも知れませんね。
しかもそのことを決して光枝には知らせない。大人になればなるほど、自分のことも相手の気持ちもわかってきて、その優しさが前に進めるはずの足取りを鈍らせます。その繊細さが大人の誠実さにも感じました。
また岸本加世子さん演じる愛子は、とてもかわいかったですし、この方は若い時から天才だっったのがありありと伝わってきました。お芝居ではなく今ここで事が起きているかのようにみせるのが素晴らしかったです。岸本加世子さんの作品を他にもたくさん観てみたくなりました。
映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』まとめ
所帯を持つということ、大切な人を命を懸けて守り幸せに生活させるとこなど、実質的な愛のお話で、非常にわかりやすい物語でした。
寅次郎と愛子の珍道中は非常におもしろかったです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。