顧客に高額で最後の料理を提供する天才的な舌を持つ男が、かつて満州国で作られた「大日本帝国食菜全席」のレシピを再現しようとする中で、忘れかけていた最も大事なことに気づかされていく物語です。
料理によって過去にさかのぼっていくという斬新なミステリーになっています。
『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』のあらすじ・キャスト・感想をまとめてみました。
(トップ画像公式ページより)
『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』あらすじ
一度食べたことのあるものは全て再現できる、麒麟の舌をもつ佐々木充は、その才能を生かして自分の料理店を開きます。しかし彼の全く妥協をしないやり方に、スタッフも客もついていかれず、充はお店を潰して多額の借金を抱えてしまいます。
その借金を返すために、充は顧客の最期の料理を完璧に再現することで高額の報酬を得て、返済にあてていました。
幼い時に親を亡くした充は、児童養護施設の園長である鈴木太一に引き取られます。進路の話になり料理人になるのを太一に反対された充は、施設を飛び出し料理の道に進んだのでした。
同じ施設で兄弟のように育った柳沢健だけは、充の才能を信じ充の店が潰れるまで、一緒に働いていました。
ある日園長の太一が亡くなってしまいます。15歳で施設を飛び出してから一回も帰らなかった充は、お葬式にも顔を出さなかったのです。柳沢は心配し説得して来させようとしましたが、充には全く想いが届きません。いくら話してもお線香をあげにすら来ないのです。
そんな充のもとに中国から依頼の電話が入ります。報酬は通常の3倍と言われたので行ってみると、楊晴明という人物に会い、あるレシピを探してきてそのレシピ通りに、料理を再現してほしいと依頼されたのです。
成功報酬は5000万円。最初に提示された報酬は頭金だ言われ、充は引き受けることにしました。
そのあるレシピとは、高級で珍奇な材料を用いた100種を超える豪華絢爛な宴席料理である「満漢全席」を超える、「大日本帝国食菜全席」という満州国の料理人・山形直太郎が作ったものでした。そのレシピを探すうちに、充はいろんなことに気が付いていくのです。
『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』キャスト紹介
2017年11月3日公開。
上映時間:126分
【原作】田中経一
バラエティー番組の演出家・小説家。「料理の鉄人」の演出をしてことで有名な方です。
2014年、今作『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶』(『麒麟の舌を持つ男』をのちに改題)で小説家デビューしました。
【監督】滝田洋二郎
『おくりびと』で日本アカデミー賞 最優秀監督賞をとったことで知られています。
【脚本】林民夫
『永遠の0』で日本アカデミー賞 優秀脚本賞を受賞しています。
【キャスト】佐々木充 ( 二宮和也 )
主人公で、「麒麟の舌」と言われる絶対味覚の持ち主です。
【キャスト】柳沢健 ( 綾野剛 )
幼い頃に親に捨てられて、充と同じ施設で兄弟のようにして育ちました。
充のお店で一緒に働いていましたが、お店が潰れてからは大衆中華料理店の雇われ店長をしています。
充の料理人としての才能も一番信じています。
【キャスト】楊晴明 ( 笈田ヨシ )
「大日本帝国食菜全席」の再現を充に依頼した、中国料理界の重鎮です。
【キャスト】鈴木太一 ( 大地康雄 )
充を引き取った児童養護施設の園長です。
【キャスト】山形直太朗 ( 西島秀俊 )
「麒麟の舌」の持ち主で、「大日本帝国食菜全席」を作った満州国の料理人です。
『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』見どころ(評価)
頑なになっていた充の心を、何とか動かそうと一生懸命だった柳沢(綾野剛)の姿が印象的でした。自分を追い込むことで見えてるくものがあるのは確かですが、その充の姿を見た柳沢はこのままだと充はダメになると、心配していたのには涙が出ました。
太一が料理人になることを反対したこともそうですが、充はとても愛されていたのですね。幸せに笑っていてほしかった、ふたりは充にとって本物の家族であり、かけがえのない存在でした。
そのことも見えていなかった充の最後の言葉は、なるべく感情を出さない、抑えた物言いでグッときました。2回同じセリフを言うところがありますが、その2回目は特にそれが伝わってきて、充らしい言い方だったと思います。
太一は亡くなってしまったけれど、これからは柳沢のことを兄弟として大切にしていくことで、充はもっともっといい料理人になれるのかもしれませんね。
忘れかけていたものが挫折の原因だとしたら、うまくいかないことや失敗の原因は見えなくなっているものや、大事にしなくなってしまったものがあるからなのかもしれません。それを見つけたいと思いました。
『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』まとめ
同じ力があっても、目的が違うと結果として出てくるものが大きく変わること、そして本当の意味での家族のかけがえのなさを感じました。
このお話はどんなことがあっても正面から大切にものを見て、大事にすべき目の前のものや身近なことに、改めて気づかせてくれる優しい愛にあふれた作品です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。