娘が死産になってしまった母親の悲しみと、周りを取り囲む夫や母親そして助産師と向き合うことで、自分自身をゆっくりと取り戻していく女性の姿を描いた作品です。
2021年アカデミー賞主演女優賞にノミネートした映画でもあります。
映画『私というパズル』あらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
映画『私というパズル』概要
公開:2021年1月7日 (配信)
上映時間:128分
原題:Pieces of Woman
【スタッフ】
監督…コルネル・ムンドルッツォ
配給…Netflix
製作国…カナダ、ハンガリー
映画『私というパズル』あらすじ
ボストンで出産を控えていたマーサは、自宅での出産を強く希望し、その準備を夫のショーンとともに万全に整えていました。
陣痛が始まり本来予定していた助産師が、ちょうど他の出産に立ち合っていたことから、違う助産師が自宅にやってきます。そんな中、出産は難航。子供の心拍がついに確認できなくなり、病院に搬送しようとしたものの、何とか自宅で産み落としましたが死産になってしまいました。
現実を受け止められないマーサとショーン。ふたりはマーサの母の手配で娘のお墓を作ることに。
しかし墓石に書く娘の名前の綴りが間違っていることをマーサが強く指摘すると、お金を出してくれたマーサの母エリザベスの手前、大したことじゃないとなだめたショーンに悲しみが爆発。マーサは自暴自棄になって娘を検体に出すと言い、墓石屋を飛び出してきてしまいます。
ショーンに夫婦としてチームでこのことを乗り越えようと言われ、マーサはわかったとは言うものの言葉とは裏腹の行動をし、娘の遺体を検体に出してしまいます。そこからふたりは心が離れていくばかりになってしまいました。
母のエリザベスから、マーサの娘の死産は助産師のミスなので法廷に立つように言われ、いとこで優秀な弁護士であるスザンヌに弁護を依頼。裁判をすすめられるがまま、マーサはその時の状況を法廷で話していくのでした。
するとマーサはあることが気になり出します。自宅での出産にこだわっていたのは自分だったこと、そして産み落とした時娘は本当に生きていたのか。出産直後にショーンが撮った写真を確認してみると、それをみたマーサは全てを受け入れる決心がついたのでした。
裁判では出産に立ち合ってくれた助産師に感謝を。さらに自分の娘を守らなくては闘うことを必死に選ばせようとした母エリザベスにはより深い愛を。マーサは自分自身も、自分を取り巻く全てのことも受け入れることに決め、前に進むことができるようになるのでした。
映画『私というパズル』キャスト紹介
マーサ・ワイス…ヴァネッサ・カービー
もともとキャリアウーマンの女性です。
ショーン・カーソン…シャイア・ラブーフ
橋の建設現場で働くマーサの夫です。もともと薬などをやっていたことがありますが、不器用ながらも妻のマーサを懸命に支えようとします。
エリザベス・ワイス…エレン・バースティン
マーサの母親です。
スザンヌ…サラ・スヌーク
マーサの従姉妹で優秀な弁護士です。
映画『私というパズル』感想(評価)
最初の出産シーンの臨場感がすごかったです。ここまで観ているこちらもハラハラと息をのんで、前のめりになってしまう出産シーンはなかったと思います。ただこの緊迫感や切迫感は最初だけで、そのあとは淡々としていた印象でした。
マーサの悲しみが怒りに変わって攻撃的になってしまう姿は、周りのあらゆるものを傷つけていました。彼女のエネルギーが強すぎて、夫も姉も参ってしまっていましたが、このように激しくエネルギー量の多い人間はやってしまいがちなことなので、とてもリアルでした。
唯一母親のエリゼべスだけが、それを何とか生産性あるものに変えて、マーサを助けたいと必死になっていましたが、パズルが欠けるとこんなふうに風穴が広がって全てがバラバラになってしまうかと思うと、まさに悲劇でした。
解決法はただひとつ。事実、現実そして今の自分自身の心とまっすぐに向き合い、受け入れること。たったそれだけのことでも、それに気づいて自分をゆるしてやると、人は前に進めるのだということがこのお話を観て学べました。
映画『私というパズル』まとめ
悲劇からの立ち直り方、パズルのピースの埋め方を教えてくれるような作品です。
周りで支えてくれる人を、どんなときも大切に生きていきたいものですね。その余ががない時、人は本性が出てしまいますが、そんな時はこの映画の学びを生かして前に進む糸口を探せるのではないか、そんなふうに思わせてくれました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。