イギリスの田舎町ブライの古いお屋敷にまつわるアメリカ人の世話係と両親を亡くした子供たちを中心とした物語。超自然的ホラーにラブロマンスを組み合わせた「ゴシック・ロマンス」な作品となっています。
失意のなか単身イギリスへ渡り、古いお屋敷での新しい生活を始めた世話係のダニが次第に戦慄の恐怖へと巻き込まれていきます。
【第8話】あらすじ・キャスト・感想を紹介します。
目次
「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」前回までは…
Netflix全9話
放送期間:2020.10.09 Netflixにて配信スタート
原案・制作:マイク・フラナガン
ホラー映画「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(前作)
「オキャラス/怨霊鏡」「ドクター・スリープ」
原作:ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」
【第8話】「ある古衣のロマンス」
↓↓海外ドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー 第7話』あらすじ・キャスト紹介・感想はコチラ↓↓
ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー【第8話】キャスト紹介
【ヴァイオラ・ウィロビー役/「ブライのお屋敷」の女主人】ケイト・シーゲル
【パーディタ・ウィロビー役/ヴァイオラの妹】キャサリン・パーカー
【世話係:ダニ・クレイトン役】ヴィクトリア・ぺドレッティ
【前任の世話係:レベッカ・ジェセル役】タヒラ・シャリフ
【ヘンリーの執事:ピーター・クイント役】オリヴァー・ジャクソン・コーエン
【兄マイルズ・ウィングレイブ役】ベンジャミン・エヴァン・エインズワース
【妹フローラ・ウィングレイブ役】アメリエ・ビー・スミス
【叔父ヘンリー・ウィングレイブ卿役】ヘンリー・トーマス
【庭師:ジェイミー役】アメリア・イブ
【家政婦:ハナ・グロース役】タニア・ミラー
【料理人:オーウェン・シャルマ役】ラウール・コーリ
【ストーリーテラー】カーラ・グギノ
ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー【第8話】あらすじ(ネタバレ)
時代は17世紀半ば。父親を亡くした長女ヴァイオラと次女パーディタは、男性のみに与えられる遺産相続権を得るために結婚する必要に迫られた。ヴァイオラは賢くドレスで着飾り相手を見抜く。パーディタは愛らしく姉に従順だ。ヴァイオラはハゲタカのように言い寄る男たちをかわして「ブライのお屋敷」は姉妹で生涯守り抜くと心に誓うのだった。ヴァイオラは計画的に遠縁で知識・教養豊かな紳士アーサー・ロイドをお屋敷に迎え入れた。
首尾よくロイド夫人となったヴァイオラは漠然とした不安を感じて「眠っては目が覚め歩く」日々を繰り返す。やがて娘イザベルが生まれるとヴァイオラは「甘い言葉はかけられない質なの。外の世界は怖いけど、あなたはそれ以上に強い。ブライはあなたのもの。奪おうとする敵はいるだろうけど。私がそうはさせないわ。あなたという娘と一緒に勝ってみせる。アナタでワタシよ、一つ」と言い聞かせるのだった。
幸せの絶頂は長く続かない。変化は突然やって来る。贅を尽くして世界中の最高級布地でドレスを仕立て上げても、病には勝てない。医師は「肺の病」と診断し隔離が必要だと告げた。ヴァイオラは隔離を拒んだが「イザベルのため」と納得した。あらゆる手立てで治療を試すも効果がない。結婚式以来、いよいよ司祭が「臨終の儀式」のためにお屋敷を訪れることになった。
行ってあなたがたの場所を用意したら
再びここに戻り、今度はともに連れて行こう
わたしがいる所にあなたがたもいてほしいからだ
ヴァイオラは「神様に伝えて、私は行かない」と拒んだ。5年の歳月が流れて状況は日々変化するのだった。ヴァイオラは苛立ちと不安を隠せず、パーディタへ当り散らしては衰弱していく。6年が過ぎるとヴァイオラは自分の宝飾品すべてを最愛の娘イザベルへ遺すと言い「パンドラの箱」に隠して、鍵を秘密裏に保管するよう夫アーサーに約束させた。この頃にはお屋敷の維持も困難になり始め、アーサーは豊かな異国へと出稼ぐため留守がちになっていった。
「もうたくさんだ」妹パーディタはついに姉ヴァイオラの口を塞いで窒息させた。そしてパーディタは新しいロイド夫人となる。だが財政難が容赦なく襲い、姉の6回忌を迎える頃にパーディタの不満は爆発した。終いには屋根裏に潜むあの「パンドラの箱」に手をかけてしまうのだった。
死後ヴァイオラの記憶は「パンドラの箱」に閉じ込められた。「眠っては目が覚める。歩く」長い歳月の後ヴァイオラは自分の死、夫の再婚、そして母がおらずとも娘は育つことを受け入れる。夢でも嘘でもいい、記憶の部屋に閉じ込められることさえも受け入れた。いつか必ず娘イザベルが扉を開け宝飾品に喜ぶ姿を見て、ヴァイオラ自身が報われる日の訪れを信じていた。
だが扉を開けたのは他ならぬ妹パーディタ。やがてパーディタの遺体を見つけたアーサーの表情に浮かんでいたのは「寂しさ」だけだった。
アーサーは娘イザベルと2人でブライのお屋敷を離れると決めた。姿は見えなくてもまた「親子水入らず」で過ごせると期待したヴァイオラだが、報われることなく「パンドラの箱」はついに湖の底へ沈められた。その時ヴァイオラの心は砕け散り、鋼の執念で「あの世へ引き寄せられる代わりに自らの意志で引力を作り出し」ブライの敷地を永遠に変えてしまうのだった。
夜ごとヴァイオラは悪夢から目覚めたように、湖からかつての寝室へと歩く。その度心は砕け散り、胸は焼けるように痛む。
やがてお屋敷は疫病患者の隔離施設となっていた。ベッドに佇む疫病患者に「あの娘はどこ?」と尋ねるヴァイオラ。防護服を着た医師が現れるとヴァイオラは有無を言わせず首を絞め殺した。その瞬間からヴァイオラが作り出した「ブライの土地に縛りつけ苦しめる引力」が他者へ及ぶようになったのだ。医師に続き司祭が犠牲となった。
ヴァイオラは「眠っては忘れた」「起きて歩いてまた忘れる」。記憶が消え去ると顔も消えていく。ある晩寝室で小さな子供を見つけると湖へ連れていった。そしてすべてが色あせて消えていく。妹もしかり。運命はヴァイオラの通り道に踏み込んだ者すべてに降りかかるのだった。ブライの犠牲になった者は運命の犠牲者だ。悪意の病気の互いの犠牲者なのだ。
今新しい世話係ダニもまた同じ運命をたどるのだろうか…(第8話完)
ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー【第8話】感想
ついにブライのお屋敷にまつわる恐怖の歴史が解き明かされました。
ウィロビー家の長女ヴァイオラ=最初のロイド夫人、その人が「真のブライ屋敷の女主人」だったのです。すべてはここから始まった。娘イザベルへの忘れがたき愛情と母性本能、ブライのお屋敷への執着心により生み出された悲劇こそがこの物語の核と言えるでしょう。やはりいつの時代も「母は強し」なのです。思いはただ一つ「娘イザベル」へ届けってことですね。
いつか必ず娘イザベルが「パンドラの箱」を開けて喜ぶ姿を見る日が来ると信じて。それが妹パーディタだったとは…渾身の怪力で亡き者にしましたね。そりゃ激怒しますよ、分かりますヴァイオラご主人様。でもよほど「執念」が強い、強すぎ。娘イザベルに会いたいがため夜毎湖から寝室まで「夜のお散歩」と言えば微笑ましいが、「夜の狩人」と思えるくらいに行く手を遮る者は問答無用の怪力でねじ伏せるとは恐ろしすぎだ。でも想いは届かなかったね…。結局は湖の底へ沈められてしまった。このシーンはヴァイオラ様に同情してしまうな。せつなすぎ。
もう忘れるしかない、何もかも。やがて時とともに水の流れが顔の凹凸も記憶までも彼方へ消し去る。
神をも恐れず悪魔を追い払うがためにブライの敷地に強大な磁場を作り、自らを縛り付けるはずの引力が他者をも巻込んで顔も記憶も消し去っていく。こんな人間の奥深い情念が事の発端だったとは…。
胸が締め付けられるようで、張り裂けそうでズキンと痛みます。
ラストはまたヴァイオラの通り道に踏み込んでしまったダニが首を掴まれ引きずらて行くシーンに戻ります。ダニよ、なんとか窮地を脱してくれと祈らずにはいられません…。
最後に(まとめ)
第8話はいかがでしたでしょうか。
第8話を観終えて、この作品が「ゴシック・ロマンス」と言われる所以がよく分かりました。
果たしてダニの運命やいかに?いよいよクライマックス。物語の結末が気になって仕方がありません。
それでは最終回第9話でまたお会いしましょう!