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海外ドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー第6話』あらすじ・キャスト・感想

イギリスの田舎町ブライの古いお屋敷にまつわるアメリカ人の世話係と両親を亡くした子供たちを中心とした物語。超自然的ホラーにラブロマンスを組み合わせた作品となっています。

失意のなか単身イギリスへ渡り、古いお屋敷での新しい生活を始めた世話係のダニが次第に戦慄の恐怖へと巻き込まれていきます。

【第6話】あらすじ・キャスト・感想を紹介します。

↓↓海外ドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー 第5話』あらすじ・キャスト紹介・感想はコチラ↓↓

海外ドラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー第5話』あらすじ・キャスト・感想
イギリスの田舎町ブライの古いお屋敷にまつわるアメリカ人の世話係と両親を亡くした子供たちを中心とした物語。超自然的ホラーにラブロマンスを組み合わせた作品となっています。失意のなか単身イギリスへ渡り、古いお屋敷での新しい生活を始めた世...

「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー」前回までは…

Netflix全9話

放送期間:2020.10.09 Netflixにて配信スタート

原案・制作:マイク・フラナガン 

ホラー映画「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(前作)

「オキャラス/怨霊鏡」「ドクター・スリープ」

原作:ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」

【第6話】「にぎやかな街角」

第5話ではドミニク・シャーロットのウィングレイブ夫妻、前任世話係のレベッカだけに止まらずピーターもハンナまでも既に亡くなっていることが明らかになりました。死後でもハンナはこれまで通り家政婦の仕事を続けている。ダニやマイルズ・フローラもお屋敷で共に日常生活を送っているのだ。一見何ごともないかのように、ブライのお屋敷では今日も新たな一日が始まり過ぎていくのです。

一方でレベッカとピーターの間に起こった出来事も見えてきましたが、2人の恋愛関係にはどうやら込み入った事情もあるように思えます。2人の裏側にどんな秘密が隠されているのか、今後注目したいところです。

第6話ではヘンリー・ウィングレイブ卿の「過去のいきさつ」が暴かれますが…。

「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー第6話」キャスト紹介

【世話係:ダニエル「ダニ」クレイトン役】ヴィクトリア・ぺドレッティ

【父親ドミニク・ウィングレイブ役】マシュー・ホルネス

【母親シャーロット・ウィングレイブ役】アレックス・エッソー

【兄マイルズ・ウィングレーブ役】ベンジャミン・エヴァン・エインズワース

【妹フローラ・ウィングレイブ役】アメリエ・ビー・スミス

【叔父ヘンリー・ウィングレイブ卿役】ヘンリー・トーマス

【庭師:ジェイミー役】アメリア・イブ

【家政婦:ハンナ・グロース役】タニア・ミラー

【料理人:オーウェン・シャルマ役】ラウール・コーリ

【ヘンリーの執事:ピーター・クイント役】オリヴァー・ジャクソン・コーエン

【前任の世話係:レベッカ・ジェセル役】タヒラ・シャリフ

【顔のない湖の女性幽霊】ダニエラ・ディブ

【ストーリーテラー】カーラ・グギノ

「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー第6話」あらすじ(ネタバレ)

《概要》

第6話ではマイルズ・フローラ2人の亡くなった両親に関わる「過去のいきさつ」が語られています。お屋敷内の秘密がまたひとつ明らかにされるのです。

兄ドミニク・ウィングレイブ卿の妻シャーロットと不倫関係にあった弟ヘンリー・ウィングレイブ。数年後第二子の出産時期があまりに早かったため、不審に思ったドミニクはシャーロットを問い詰めた。そしてマイルズの妹フローラの実父がヘンリーだと確信する。兄は弟へ絶縁状を突きつけ罵倒した。そしてお屋敷への出入りはもちろん、フローラをはじめウィングレイブ家に近づくことさえ禁じたのだ。

ドミニク・シャーロット夫妻は夫婦関係の立て直しを図ろうと、夫婦水入らずでインドへ二度目のハネムーンに出発したが、飛行機事故に遭い2人とも帰らぬ人となってしまう。その日からヘンリーは「生ける屍」と化したのだった。記憶の世界にもう一人の邪悪な別人格ヘンリーを作り上げ、悪魔の囁きで酒浸りのヘンリーを脅かし惑わせているのだ。

一方でマイルズの心と身体はピーターに、フローラはレベッカに操られて「記憶の世界」に翻弄される。

ダニとジェイミーは「秘密の場所」でお互いをさらに深く知り、次のステップへと進むのであった。

〜ここから先は完全ネタバレとなります〜

《ネタバレ》

(ヘンリー)ウィングレイブ卿は快適な自宅より閉鎖的なオフィスを好んだ。昼夜を問わずオフィスに引きこもって仕事や酒に閉じこもり、ずっと埋もれていた。やがて他のことは一切考えなくなり、それがいつの間にか当り前になっていった。幸か不幸かは別として…。

《もう一人のヘンリー》

秘書から郵便物を受け取るヘンリー。宛名は「ドミニク・ウィングレイブ様」ひとつ溜め息をつく。

秘書がダニからの電話を引き継ごうとするも「必要ない。元気であればそれでいい」と素っ気ないヘンリーだった。ひと仕事終えてネクタイを緩めながら手紙を見て、また溜め息をつく。夜一人きりの廊下に男の人影が見えて、溜め息をもう一つ。

「今夜はスコッチかバーボンか?」男は窓際に寄りかかる。「スコッチだな」ヘンリーはつぶやき、応接用の椅子に腰掛けてグラスにスコッチを注いだ。男が先にグラスのスコッチをひと飲みしてニヤリとする。その顔は「ヘンリーそのもの」だ。ヘンリーもひと飲みして落ち着くと記憶をたどり始めた。

《シャーロットの出産》

兄のドミニクが車を走らせ慌ててお屋敷に戻ってきた。「シャーロット、今戻ったぞ。遅かったか?」最初に出迎えたのは弟のヘンリー。「ちょうどいいタイミングだ」と告げる。ドミニクは「やけに早い出産だな」と訝しむも今はそれどころではない。心配そうに妻シャーロットの元に駆け寄り見守る。ヘンリーはただその場から離れるしかなかった。

《植物室の2人》

朝霧に煙る湖面、朝露に潤う樹木たち。お屋敷の庭でなぜかフローラが目覚める。

木曜日は早出すると承知のダニがコーヒーを2つ手にして、ジェイミーのもとへ歩み寄る。ジェイミーは「やっぱアメリカ人だね」とコーヒーをひと口含んで吐き出す。ダニは紅茶もコーヒーも淹れるのは下手なのと苦笑した。

ダニは躊躇いがちに「子供たちが最近変なの。それに少しずつ全部がおかしいわ、皆にも会わないし」と伝える。ジェイミーはじれったそうに「用件はそれだけ?そのためにわざわざ来たの?」と投げかける。

「2人の関係をきちんと始めたくて」と告げるダニ。「ポピンズ、あんたを好きだよ。だけどこの快適で退屈な人生も好き」植物を世話しながら答えるジェイミー。ダニはさらに「邪魔はしたくないの。でもいい感じで快適で退屈を続けたいな…。一緒にブライのパブへ飲みにいかない?」ジェイミーを精一杯口説いた。

《記憶の世界》

植物室からフローラが庭をふらつく姿を見つけたダニは急ぎフローラの元へ駆け寄る。「気分が良くないの。起きたばかりでよく分からない」と虚ろなフローラの目前にレベッカの霊が現れると、額に指を当てた。

次の瞬間、目覚めるとフローラは寝室にいた。ふいにベッドの足元で誰かが隠れた。「おはよう、お兄ちゃんなの?」フローラが訊ねても返事がない。すると何者かが扉を開けて出ようとしている。「あなたは誰?」近づくと振り向いたのは「顔のない子供の霊」だった。フローラは叫び声とともに逃げ出した。

《ヘンリーとの過去》

フローラは叫びながら母親の寝室へ走った。「知らない子供が部屋にいたの」と訴えるフローラは、寝室の奥にヘンリー叔父さんの姿を見つける。不思議に感じながらもフローラは、母親とヘンリー叔父さんに急いで自分の部屋へ来るようせがんだ。

部屋に戻ると誰もいない。母親は「フローラにしか見えない小さな男の子は、きっとあなたに物語を作って欲しいのよ」とフローラをなだめる。「違うわ、様子が変で顔も口もないんだから」と聞かないフローラに「それはさぞ聞き上手なんだろうね」と冗談めかすヘンリー叔父さんは「お話出来ないなら、なおさら男の子のために物語を作って聞かせてあげればきっと喜ぶよ」とフローラを納得させた。だがフローラは違和感に気づいた「これは5歳時の記憶なのね。また記憶の中に閉じ込められたんだわ」と。さらに最近同じようなことが増えていることに気づいた途端、フローラは目覚めた。

《フローラとの記憶》

フローラを必死に呼び起こすダニ。目覚めたフローラを「外で話していたら急に気を失った状態になって…。」と心配するダニだが、「もう一度寝たいの。記憶は嫌、夢を見るの」と眠りにつくフローラだった。

ダニが「フローラは夢遊病みたいだ」とヘンリーに電話をしてきた。秘書がヘンリーに繋ごうとするも「無事ならそれでいい。無事でないならさっさと医者を呼べ」と無下にして拒むのだった。

ひと息入れて受話器を上げるヘンリー。お屋敷へ電話をかけたある日の場面に記憶は飛んでいた。

「フローラのお家です」「やぁ、ヘンリー叔父さんだよ」「どうしたの?」「お母さんは今いるかい。」不思議がるフローラに話を逸らすヘンリー。「顔のない男の子」を話題に振ると「パパには空想だって言われたの」と答え、フローラは予想外に兄ドミニクへ電話をつないだ。グラスゴーに出張中だったはずの兄ドミニクが電話口に出て、動揺した弟ヘンリーはしどろもどろで話した後電話を切った。ドミニクの横を妻シャーロットが気にしながら通り過ぎる。

嫌な記憶を思い出したヘンリーはまた酒に閉じこもる。今度は邪悪なもう一人のヘンリーにも年代物の酒を注いだグラスを手渡す。「こんな贅沢していいのか?ピーターに金を横領されたっていうのに」承知の上だと言うヘンリーに「微々たる金で、どうせマイルズの金だったからいいのか」と畳み掛ける。

ふと机上の手紙に目をやると、すかさず邪悪なヘンリーは「育英会からの手紙か。秘書に兄は亡くなったと通知の手続きをさせろ。そうすれば手紙は届かなくなり、お前も気にやまなくて済むだろう」とつけ込む。「このままで問題ない」と虚勢を張るヘンリー。「兄貴がまだ生きていると信じる人を少しでも減らしたくないんだろ」と責められると、気まずそうに手紙を引出しにしまい込んだ。

再びフローラの寝室でダニが心配そうに見つめている。ハンナが様子を見に来た。こんな状態のフローラを放っておくヘンリーを非難するダニに対してハンナが「ヘンリーはもう長い間別人のように変わってしまったのよ。ドミニク・シャーロットの2人が亡くなった時、ヘンリーも死んだわ。3人ともふっと消えたの」と教えた。

ハンナの話を聞いてより心配になったダニは、もう一度フローラの寝顔を確かめるとドアの方へと歩いた。ふと背後に別の人影を見た気もしたが、そのまま部屋を出るのだった。

ダニがキッチンに移ると、夜遅くまで愉しそうに談笑するハンナとオーウェンが出迎えた。

《秘密の場所で》

ジェイミーがキッチンに現れ「今日の苦労を退屈で癒やさない?」とダニへ持ちかける。ダニは子供たちが心配と躊躇うも、ハンナとオーウェンが「あとは任せて。2人の時間を楽しんで」と助け舟を出す。

ジェイミーはダニを敷地内にある「自分だけの秘密の場所」へ連れ出した。そこは特別な場所で、闇夜に咲く「夜顔」の白い花が美しくライトに照らし出された。

ジェイミーが言う…「花が咲くのは1年に2ヶ月、夜だけ。一度咲いたらもう終わり。この花は朝には萎れて、明日の晩には新しい蕾が開いて萎れる。3週間後には全部枯れる。春には新しい夜顔を植え直すんだ」と。

ダニが「一度しか咲かないのに手間がかかるのね」と何気に言うと、ジェイミーは「人に対しても同じように感じる。どんなに尽くしても、ほとんど報われない」と返した。続けざまに「だから手間は省いてイッキに話すよ…」と自分の生立ちを語りはじめる。

両親の出会いはママ:ルイーズ18歳、パパ:デニス24歳の時。出会って1年後に兄デニーが生まれ、続いて私が生まれる。ルイーズはまだ子供で遊びたい盛り、デニスは地下600mで働く炭鉱労働者で家には留守がちだった。

今思えば、炭鉱って場所は植物も命もないところだと言える。石炭は死物の塊、古くて命のない物を火葬の代わりに燃やすものさ。いつもママは生きてる実感を求めていた。パパは死物の灰で顔中覆われ、墓場のような場所から生還しても人々から嘲笑された。弟マイキーの父親は別人だと町中が知っていたから。パパとママは「寝盗られ男と娼婦」呼ばわりされた。デニスは荒れて娘は白眼視され、ルイーズは家を出た。ある日事故が起き、ついには子供たちはみなバラバラに里親に引き取られた。里親に懐くはずもなく、一人ロンドンへ飛び出してトラブルに巻き込まれ2年間の刑務所行き。ガーデニングの仕事は刑務所で覚えたけど好きでしかたない。人間と違い、植物は愛して世話をして栄養を与えれば応えてくれる。成長を見られて全部報われる。

だけど…人間相手は疲れるけど、ごく稀に「夜顔」のように尽くす価値がある人もいるかもって思う。

ダニ、あんたは罪の意識から離れられない。生きてる人間と死んでる人間を一緒くたにして。だけど人間は生きてる、だからこそいつかは死ぬ。自然で美しいことだ。分解されてまた生まれて分解されて…。生きてるものはみな死んだものから生まれる。後に残すものでバトンを繋いでいく。命は次々に新しいものに生まれ変わっていく。でも同じ命なら地中深く潜ったままでいつか燃え尽きる石炭になるより、芽吹きや花を眺めているほうがずっといい。

「命のバトンを繋いでいくんだよ、夜顔みたいにね。いつかは死ぬからこそ美しいんだ…」

溢れる思いを込めてダニはジェイミーと唇を重ねた。

《秘めごとの結末》

シャーロットとヘンリーがソファで唇を重ねる。「ヘンリー、私たちこれからどうするの?」「わからない・・」もう一人のヘンリーが入れ替わって上から嘲るようにヘンリーを見つめる。

フローラ6歳の誕生日プレゼントにヘンリーが「お屋敷そっくりのミニチュアハウス」を屋敷内へ持ち運ぶ。素敵な贈り物に歓喜しながら近寄るシャーロット。ヘンリーと互いの指が触れ合いそうな瞬間だが、兄ドミニクは監視していた。「見事だな」と見下ろすように言うドミニクを見て、ヘンリーはそそくさと去って行った。

シャーロットがキッチンに立ち寄ると、明かりもつけず座り込むドミニクがいた。ドミニクは努めて冷静にフローラの出産時期について、シャーロットを問い質していく。「計算が合わないんだ。6年間、追及するのを避けていたんだろうな。好きなのか?」ひたすら涙を堪えるシャーロットの表情を見て、ドミニクは全てを確信するのだった。

《彷徨うフローラ》

ダニはジェイミーと同じベッドで一夜をともにし、深い眠りから覚めた。身支度しながらダニは庭で佇むフローラに気づく。慌てて駆け寄るダニ。「ここはどこ?わからない、また閉じ込められたんだわ。どうして何度も続くの?」と尋ねるフローラの傍にレベッカが近寄って来たかと思うと、フローラは我に返り何事もなかったように歩き出すのだった。

《兄ドミニクからの通告》

秘書はこれまで何度もダニの電話を繋ごうとしたが、ヘンリーは頑なに拒絶していた。だが根負けしたヘンリーが個室のドアを開けた瞬間、兄のドミニクが共同事務所を引き払おうと片づけている場面に遭遇する。ドミニクは「これ以上耐えられない。なめるのもいい加減にしろ、よくもコケにしてくれたな。何がどうあれ私の娘だ。お前を消してやる、私の家から消えるんだ。妻の前から消えろ、子供たちからもだ。お前にもう兄はいない、姪も甥も誰もいない。天涯孤独のヘンリー、お前はどうしようもないクズで気味の悪いクソガキそのもの。惨めだな、そんな自分と生きていくしかないんだ。にやけた面の腐れ切った化け物、そうだろ?」とヘンリーへ絶縁を言い渡した。

《そして永遠の別離》

フローラは母シャーロットと話している。両親がインドへ旅立つ直前の場面だ。不安そうな娘に母はお手製の魔除け人形を手渡しながら「守ってくれるのよ、幸せでいられるわ」と伝えた。だがフローラは「また同じこと…歳が違う、計算が合わない。また別の記憶に閉じ込められたのね」と気づいていた…。シャーロットは「その通りよ、でも安全だわ」と我が娘を愛おしむ。ママに会いたいと寂しそうな娘に「そろそろ目を覚ますのよ」と促した。

目覚めたフローラは悪夢でも見たかのように、皆で食卓を囲みデザートを楽しむ光景を見て機嫌を損ねた。と同時に電話が鳴る。かけたのはヘンリー、応答のないダニは電話を切った。

もう一人の邪悪なヘンリーが「そのうちフローラが応答してくれるとでも思っているのか。情けない奴だな」と罵る。するとドアをノックする音が聞こえる。邪悪なヘンリーはなおも「例の場面か。現実ではないが、これを受け入れ繰り返すしかないな」と追い打ちをかけた。

ドアを開けるとシャーロットが待っていた。自らの口でヘンリーに別れを告げに来たのだ。「私が色々と間違えたの。今夜二度目のハネムーンに旅立つわ。壊したくないの、やり直せるわ。愛だけじゃダメなのよ…」シャーロットは別れのキスをして去った。

邪悪なヘンリーが執拗に責め立てる「イッキに時間を進めるぞ、好きな場面だ。もう一度見てみたい、お前と出会った夜だ」と。電話が鳴っている、インド領事館からだ。飛行機事故による訃報の知らせ。あの夜、ヘンリーは別人格の「もう一人のヘンリー」を作り上げ手を組んだ。地獄のようだとつぶやくヘンリーに、「本当の地獄はブライの屋敷に電話して、悲報を伝えた時さ」と邪悪なヘンリーがニヤけ顔で追い詰めた。

電話の向こう側の声主は…「フローラのお家です」と応えるのだった。

《顔のない小さな子供と》

「フローラのお家です」と寝言。「寝言に夢遊病…フローラは苦しんでいるわ」心配するも手の打ちようがないダニへ心理学者の「心のセラピー」を勧めるジェイミー。もちろん自己体験も付け加えて。そのまま2人はおやすみのキスをして別れた。

場面はヘンリーのオフィスに戻る。ダニの電話に折り返し連絡を試みるも一向に電話がつながらない。胸騒ぎがしたヘンリーは意を決してブライのお屋敷に向かうと言い始める。邪悪なもう一人のヘンリーが「2年間酒浸りのお前が今さらブライへ行ってどうなると言うんだ。どうしてもと言うなら、小さな子供たちに両親が亡くなった状況や旅行に出かけた目的も伝えてあげるといい」と付け入るのだった。

フローラがベッドで寝返りを打つと「顔のない子供の霊」がドールハウスで人形遊びをしている。「こんばんわ」とフローラが声を掛けると「顔のない子供の霊」は一目散に地下へ走った。後を追ったフローラは数体の人形の中に「顔のない子供の霊」を見つけ出す。安心してと挨拶したフローラはそばの人形の顔を取り外して「顔のない子供の霊」に取り付けた。「あなたに物語を作ってあげる」と伝えかけて、フローラはこれが5歳時の記憶だと気づいた。「また別の記憶に閉じ込められたのね。どうして続けるの?なぜ指で私を押し出すの、教えて(レベッカ)ジェセル先生!」と叫ぶと目覚めるのだった。

《レベッカ&ピーター》

姿を見せたレベッカの霊に「何度も閉じ込められるのはウンザリなの。忘れるのもおかしなことをするのも嫌。お兄ちゃんも時々別人になるの。私に何をするつもりなの?」と吐き出すように訴えるフローラだった。

レベッカが答えようとした瞬間、ダニが部屋のドアを開けた。レベッカの霊と鉢合わせして恐怖に震えるもフローラを引き寄せるダニ。慌ててマイルズの名を叫ぶと今度は廊下にピーターの霊が姿を見せた。「おっとバツが悪いな」とつぶやくピーター、素早くフローラの肩に触れるレベッカ。ふいにフローラが地下室の方へ駆出して行く。

ダニがフローラを見つけた。フローラはまるでその場所へ誘導したかのように「ごめんなさい」と声を落してつぶやいた。

次の瞬間、背後からマイルズが棒を振りかざしダニを殴打するのであった。(第6話完)

「ザ・ホーンティング・オブ・ブライマナー第6話」感想

ひと時の過ちが大きな代償を払う結末となりました。一人の人間が堕ちていくプロセスは様々ありますが、ヘンリー・ウィングレイブ卿の場合は「貴族の戯れ」による成れの果てでしたね。

妻シャーロットと弟ヘンリーの不倫関係、そしてフローラ出生の裏側を知った兄ドミニクからの絶縁通告。「天涯孤独のヘンリー、お前はどうしようもないクズで気味の悪いクソガキそのもの。惨めだな、そんな自分と生きていくしかないんだ。にやけた面の腐れ切った化け物め」ありったけの憎悪と侮蔑を混ぜ込んだ一撃必殺の口撃だったに違いない。その証明が不気味に登場した「邪悪なもう一人のヘンリー」の存在だ。

もし仮にあの日、飛行機事故がなかったらヘンリーの生き方は変わっていたかもしれない。でも事故は起きてしまい、兄ドミニクとシャーロットまでも永遠に失ってしまった。償いようもない罪の意識と懺悔、そして後悔の念はもはや消しようのない重いトラウマとなってヘンリーに押し寄せた。ヘンリーは自ら「生き地獄」を作り出し、自分を閉じ込めるしかなかったのだろう。

そして地獄からの使者「邪悪なもう一人のヘンリー」をも作り上げる。しかも兄ドミニクに暴かれたヘンリー裏の顔「にやけた面の腐れ切った化け物」キャラそのままなのだ。無限ループの中であの日を繰り返す地獄の日々。この先もヘンリーは「生き地獄」から抜け出すことはないのだろうか。罪の牢獄に自らを閉じ込めたまま生涯を終えるとしたら…。せめて未来にひとすじの光が当たる新たな世界が開けてほしいと願うばかりです。

罪の意識に苛まれているのはダニも同じ。もしかしたらヘンリーは面接の際に、ダニの中に似た暗闇を見出していたのかもしれません。ダニならば状況を理解して、上手く対処してくれるとの期待があって当然です。しかしブライのお屋敷には非現実的なことが次々と起こる。マイルズやフローラの身に起きている何か大変なことを簡単に解決出来るはずもないのだ。

だからこそ庭師ジェイミーとの出会いはまさに運命だと信じたい。今回ジェイミーが「秘密の花園」で自身の生立ちを語った場面は、個人的にも名シーンでありとても印象深い。ジェイミーの言葉一つ一つに魂を感じて、ズシリと胸に響いてくる。自らの体験を通して「人の生き死に」を「植物を愛でる喜び」と交えながら語る姿がなんとも自然体でいて美しい。ダニが愛して身を委ねていくのも至極うなずけるのだ。

一方でピーターとレベッカはなんとも邪な幽霊に思えてくる。いまだ未練がましく屋敷内を彷徨う「生霊」のようである。マイルズやフローラの肉体を借りるのみならず、記憶も自在に操ってしまうのか…。さらには「今のままで上手くいっている」と言い切るレベッカやピーターの狙いは何なのか、気になるところですね。

第6話では「朝霧や朝露の風景」「闇夜に咲く白い夜顔」など今までにない美しい映像も見どころの一つです。

最後に(まとめ)

第6話はいかがでしたでしょうか。

天涯孤独のヘンリー、そしてピーター・レベッカの霊に影響を受けるマイルズとフローラ。いずれも「記憶の世界」に閉じ込められるという無限ループ。ヘンリーは自ら作り上げた「精神世界」のように思えますが、マイルズとフローラの場合は大人の事情に「巻き込まれた感」が半端ないような気がしています。

傍で見守っていたダニもどうやら「他人事」と言うわけにはいかないようですね。第6話のラストではついにレベッカの霊を見てしまったわけですから。

ブライの物語も後半戦、今後の展開がますます気になります。

それではまた第7話でお会いしましょう!