「イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密」は、エニグマ(暗号)を解読した天才数学者アラン・チューリングの物語です。
実話に基づいています。
ベネディクト・カンバーバッチ(代表作「シャーロック))が主演し、キーラ・ナイトレイ(代表作「パイレーツ・オブ・カリビアン」)などが助演しました。
監督は、モルテン・ティルドゥム。
2014年に製作されたアメリカ映画です。
この作品で、主演のカンバーバッチはアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、その演技を高く評価されました。
アカデミー賞では、他にも作品賞、監督賞、助演女優賞などでノミネートを受けています。
アカデミー賞脚色賞では、見事受賞を果たしました。
映画は、興行収入の面でも成功を収めています。
※原タイトルは、「The Imitation Game」です。これは、チューリングの論文「計算する機械と知性」(1950)に登場する本人考案のテストの名称に由来しています。imitationには、模倣、まね、といった意味があります。
目次
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のキャスト紹介
アラン・チューリング(演:ベネディクト・カンバーバッチ)
この映画の主人公。
イギリスの数学者。
演:ベネディクト・カンバーバッチ
イギリスの俳優。映画、ドラマ、舞台で活躍。
「ホーキング」、「アメイジンググレイス」、「SHERLOCK」、「ホビット」シリーズなど。
ジョーン・クラーク(演:キーラ・ナイトレイ)
女性の暗号解読者、貨幣学者。
チューリングと一緒にエニグマの解読に挑む。
演:キーラ・ナイトレイ
イギリスの女優。
「ベッカムに恋して」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「プライドと偏見」「つぐない」「人間嫌い」など。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のあらすじ、ネタバレ
【寄宿学校時代】
主人公の名は、アラン・チューリング。
彼は、数学的才能に恵まれ、そして変わった性格をした少年だった。
そのせいなのか、彼は生徒たちからいじめを受けていた。
チューリングは、優しく賢いクリストファーという少年と親しくなる。
周りの子供達と違うチューリングに、クリストファーは、「時として、誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる」と言って励ます。
チューリングはクリストファーに恋心を抱き、クリストファーに告白をしようとする。
しかしその前にクリストファーは結核で亡くなってしまう。
【戦争時代】
チューリングは長じて数学者となった。
そして1939年、彼はナチス・ドイツの暗号機「エニグマ」を解読するチームに配属される。
彼は、エニグマを解読するためのマシンを作製することを思い付く。
彼はマシンをクリストファーと名付けた。
しかし、チューリングは仲間とうまく関係を築けず、対立し、孤立してしまう。
マシンの作製も思うように進まない。
さらに悪いことに、チューリングはスパイ疑惑がかけられてしまった。
チューリングは、新しい女性の同僚ジョーンに出会う。
2人は、次第に親しくなっていく。
ジョーンは、エニグマを解読するためには、仲間とうまくやる必要性があると説く。それを聞いたチューリングは、努力を始める。
仲間たちの協力を得、マシンは軌道に乗り始める。
チューリングは、レストランで仲間と食事をとっている最中、客のとある言葉を聞き、エニグマ解読の方法をひらめく。
チューリングたちは、ついにエニグマの解読に成功する。
【1950年代】
1951年、チューリングは空き巣の事件で警察の捜査を受ける。
彼は、そのことをきっかけに同性愛を疑われる。
(※当時イギリスでは同性愛は禁止であった)
取り調べの中で彼は、「イミテーション・ゲーム」をしようと言う。
彼は、「僕は何だ?僕はマシンか人間か?英雄か、犯罪者か?」と尋ねた。
彼は同性愛を理由に有罪判決を受ける。
彼は、2年間刑務所に入るかホルモンの服薬をするかの選択を迫られ、服薬を選んだ。
彼が服薬をする理由は、そうしないとマシン(クリストファー)を取り上げられるからであった。
チューニングは、孤独になりたくなかった。
ジョーンは、チューリングのもとを訪れる。
チューリングは、服薬して心身ともに弱っていった。
彼女は、かつて彼の口からきいた言葉を伝える。
「誰も予想しなかった人物が、誰も想像しなかった偉業を成し遂げる事だってある」
彼は、1年間ホルモンを投与されたのち、1954年6月7日に自ら命を絶った。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」の感想
とても複雑な映画であった。
1回観ただけでは、正直言ってよく分からない。
(なので、以下の感想は、何度も観返せば変わるかも知れない。)
映画は、3つのストーリーが同時に進行していく。
少年時代、戦争時代、戦争後の3つのストーリーである。
物語のなかで、エニグマ解読(暗号解読)の話は大きなテーマだが、基本的にはチューリングの人生を描いているように見える。エニグマ解読の物語というよりは、チューリングの物語である。
映画では、チューリングの悩みのうち、主に2つのことを大きく取り上げている。
一つは、性格(彼の性格は多くの人とは異なっていた)で、もう一つは、同性愛である。
映画の中で、性格については、「誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる(※クリストファーやジョーンのセリフにある)」ことが実現したことで、報われた感もある。エニグマ解読に成功したことで心を晴らすことも可能だったように思える。
しかし、同性愛については、最後まで悩みであり続けたように見える。
彼は、数学や仕事の分野ではある程度成功したと言って良いのかもしれない。映画の題材であるエニグマを解読することも出来た。
しかし、彼の人生の問題(例えば同性愛)については、うまく解決することは叶わなかった。
(同性愛に関しては、当時のイギリスにおいて同性愛は禁止であり有罪でもあったから、この悩みを解決することは相当困難であったろうと想像される。)
そしてそれが映画の悲しいラストにつながっていく。
彼が自死した理由が何だったか、他人が推測することは難しい。
しかし、何が理由かは分からないが、彼は最終的に命を絶つことになってしまった。
映画のなかの大きなテーマであるエニグマ解読に成功はするが、最後は悲しさが残る作品であった。
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