『海よりもまだ深く』【日本映画】あらすじ、キャスト、感想・評価、まとめ

映画

是枝裕和監督による、“なりたかった大人”になれなかった大人たちの物語。

阿部寛、樹木希林とタッグを組み、夢見た未来とは異なる現実を生きている、元家族を描いた人間ドラマです。

キャスト、あらすじ、感想などをまとめてみました。

(トップ画像公式ページより)

『海よりもまだ深く』あらすじ(ネタバレ)

 15年前に一度、島尾敏雄文学賞を受賞した作家の篠田良多は、それきり鳴かず飛ばず。今は探偵事務所で「小説のリサーチ」と称して勤め、生計を立てていました。漫画の原作をやらないかという依頼はあるものの、純文学作家のプライドから、断り続けてしまいます。

 そんな状態の中、入ってきた少しばかりの収入も、すぐに大好きなギャンブルに使ってしまうため常に金欠で、母の淑子や姉の千奈津にいつもお金をせびっていました。

 そんな姿に愛想を尽かして良多と離婚した元妻の響子は、月5万円の養育費を貰うことを条件に、月に一度息子と会うことだけを許していました。良多はその養育費は用意できなくとも、息子の真悟にプレゼントを持っていきたいとお金を工面し、なんとか父親としての意地を見せていました。

 そんなある日、真悟に会える月に一度のタイミングで、台風が日本に接近。良多はスパイクをプレゼントしたあと、淑子の家に真悟とふたりで遊びに行きます。響子がそこへ息子を迎えに行くと、天気が崩れ始めたので、淑子のすすめでその晩は淑子の家に、三人は泊まることになりました。

 響子に未練を残している良多は、響子の新しい恋人を陰で調べていました。それを知った響子は、冷たい態度を取り続けています。

 11歳の真悟は夜中眠れずにいると、良多の誘いで嵐の中を共に外出することにしました。公園の滑り台の中にふたりで籠り、駄菓子を食べます。そこで父と息子は将来の夢について話し合いました。

 そこから良多は、自分の生き方を振り返るようになります。翌日台風が去り、晴れ渡った太陽の下、三人は淑子の団地から出ると駅まで一緒に行き、そこで「また来月に」っと言葉を交わして、それぞれに帰っていきます。

 帰っていく響子と真悟を見送り、良多は心を新たに、自分の道を歩き始めるのでした。

『海よりもまだ深く』キャスト紹介

2016年5月21日公開。日本映画。

上映時間:108分

 

【監督・脚本・原案】是枝裕和 

『万引き家族』『そして父になる』『誰も知らない』などでも有名な、ドキュメンタリー映画出身の、国内外で高い評価を受ける映画監督。

 

【キャスト】

《篠田良多役》阿部寛 

作家崩れの探偵。

 

《白石響子》真木よう子

良多の元妻。

 

《中島千奈津》小林聡美

良多の姉。

 

《山辺康一郎》リリー・フランキー

良太の勤める探偵事務所(興信所)の所長。

 

《町田健斗》池松壮亮

探偵事務所(興信所)の部下。

 

《白石真悟》吉澤太陽

良多と響子の息子。

 

《篠田淑子》樹木希林

良多の母。年金暮らし。

 

《仁井田》橋爪功

淑子の音楽の先生。団地の住民。

【海よりもまだ深く】感想・評価

 出だしのシーンから、是枝監督ならではの、人間の生活感がきちんと表現されていて、物語の中に自然と入っていくことができました。樹木希林さんとのタッグで、より具体的にそれがあらわされていて、自分もその空間にあたかも一緒にいるような気持ちになりました。

 良多(阿部寛)の登場シーンも、見るからに現実に押しつぶされているような佇まいで、思わずひきつけられてしまいます。良多(阿部寛)のキャラクターがシリアスになりすぎず、軽やかに演じられているので、テーマの重さを感じさせすぎずに、とても見やすい映画でした。

 また淑子(樹木希林)も、真面目なことを話したあとには、軽く冗談を言って笑わせることで、息抜きをさせるようなセリフ回しやお芝居も、見やすさを助長させていたように感じました。

 この映画は、父と息子、母と息子の物語でもあり、同時に何か深く愛せるものの存在の大きさについて、改めて考えさせられる作品でもあると思います。

 探偵事務所の部下、町田(池松壮亮)の良多の対する振る舞いは、町田自身の父親を見るように接しているように見え、そこにも深い愛が流れているのを感じさせてくれ、細かいところまで見れば見るほど、はまっていく映画でした。

 真悟(吉澤太陽)のへその緒が入っている箱に、淑子は良多(阿部寛)が書いた下手くそな字を見て、「こういうところ私に似ちゃったのよ」っと言いながら、涙をこらえきれずにいた場面は、最高に胸をうたれ、美しいシーンでした。

 ちなみに淑子(樹木希林)が住んでいる団地は、是枝監督が実際に28歳まで住んでいたところだそうで、監督の思い入れもひとしおだったことと思われます。東京都清瀬市の旭が丘団地がロケ地です。

 また主題歌のハナレグミ「深呼吸」は、主人公の良多の気持ちを自分と重ね合わせて書き下ろしたもののようです。このミュージックビデオは、良多の部下、町田(池松壮亮)を主人公にしたサイドストーリーになっていて、同じく是枝監督が監督を務めています。こちらも併せて、チェックしたい作品です。

最後に(まとめ)

 樹木希林さんが出演している作品だったので観てみましたが、最初から生活感を軽やかに演じて、クスっと笑わせるような親近感から、どの場面もさらっと流れていくように見えて、いつの間にかどっぷりとこの世界観に入ってしまっているような作品でした。

 とにかくスタッフ・キャストが素晴らしいです。何度見ても、新しい発見があり、それに心が動かされます。何気ないあの表情あのしぐさ、全てに意味があります。そして画面に映っているもの全てに伝えたい想いがあります。

 ぜひこの記事を読んでくださった方に、その細かい演出を丁寧にみていただきたいです。是枝監督作品に生きる登場人物は、もちろん他の監督の作品もそうですが、特に生き生きとそこで生きています。きっともともとドキュメンタリー映画出身の監督なので、それに特化しているのかもしれません。

 そしてこの作品は、夢とどう向き合っていくのかを、考えるきっかけになりました。過去の夢、未来の夢、それらとどう付き合って今を生きていくのかを考えるとき、海よりもまだ深く何をあなたは愛しているのか、みなさんの心に浮かぶものをゆったりと味わいながら、楽しめる映画だと思います。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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