映画『男はつらいよ 純情篇』あらすじ・キャスト・感想(評価)・まとめ

映画

下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第6作。

豪華キャスト、そしてシリーズ屈指の寅次郎とさくらの名シーンを観ることのできる一作です。

映画『男はつらいよ 純情篇』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。

映画『男はつらいよ 純情篇』概要

公開日:1971年1月15日

上映時間:89分

配給:松竹

観客動員数:85万2000人 (前作は72万7000人)

配給収入:2億3000万円 (前作は1億8000万円)

 

ロケ地… 五島列島の福江島 (長崎)

 

【スタッフ】

監督・原作…山田洋次

脚本…山田洋次、宮崎晃

撮影…高羽哲夫

音楽…山本直純

美術…佐藤公信

映画『男はつらいよ 純情篇』あらすじ

 旅先である長崎の港に着くと、赤ちゃんを背負ったひとりの女性・絹代が五島列島行きの船を待っていました。

 寅次郎が声をかけると、最終便を逃してしまい今夜一晩泊まるところの宿賃を貸してくれないかと絹代に懇願されます。絹代にさくらの姿が重なった寅次郎は、一晩世話することにしました。

 話を聞けば夫は、絹代が働いて稼いだお金を給料日の日にだけやってきて全部奪ってどこかへ消えてしまうような男で、子供を連れて実家に帰ろうと考えているがそもそも駆け落ちして一緒になった結婚だったため、父に合わせる顔がないと言う絹代。

 しかたがないので寅次郎は絹代の父のところまで、彼女を送り届けることにしました。

 3年ぶりに娘を見た父・千造は、一度惚れ込んだ男ならどこかしらに長所はあるはずだから、そこをお前が育てろと、絹代に夫のもとに帰るように叱ります。

 それを聞いていた寅次郎は、確かにその通りだと頭では理解するものの、最終の船の汽笛を聞くといてもたってもいられなくなり、一目散に柴又に帰っていくのでした。

 大歓迎を期待して帰ってみると、おいちゃんやおばちゃんはなんだか自分を歓迎していないような妙な雰囲気。するとそこにはおばちゃんの遠縁の美しい女性が現れ、寅次郎の部屋を借りているというのです。

 一気にテンションが上がりウキウキ気分になる寅次郎。寅次郎はその女性に一目惚れしてしまいました。

映画『男はつらいよ 純情篇』キャスト

車寅次郎…渥美清

 14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤです。

 

さくら…倍賞千恵子

 寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。

 

明石夕子…若尾文子 《マドンナ》

 おばちゃん(つね)の遠縁の美しい人妻です。夫は売れない小説家で、別居してとらやの2階を間借りしています。

 

御前様…笠智衆

 柴又帝釈天のご住職です。

 

車竜造(おいちゃん)…森川信

 寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。

 

車つね(おばちゃん)…三崎千恵子

 おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。

 

諏訪博…前田吟

 共栄印刷の職工のひとりです。さくらと息子・満男の3人暮らしです。

 

小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄

 中小企業の社長の大変さをとらやに来てはこぼしています。子だくさんの父親でもあります。

 

諏訪満男…中村はやと

 博とさくらの一人息子です。

 

川又登…津坂匡章

 寅次郎の弟分です。八戸出身。

 

源吉…佐藤蛾次郎

 帝釈天の見習い坊主で、寺男です。

 

絹代…宮本信子

 五島列島の「中村旅館」の一人娘です。父子家庭で育ちました。

 

山下医師…村松達雄

 柴又のスケベな医者です。

 

千造…森繫久彌《ゲスト》

 五島列島で「中村旅館」をやっている、絹代の父親です。

 

映画『男はつらいよ 純情篇』感想(評価)

 寅はまたもや振られてしまいましたが、今回の女性は寅に対して誠意をもってやりとりをしていて、夕子さんはとても素敵な女性だと感じました。夕子さん演じる若尾文子さんは、本当に品のあって女性からも憧れられるような素敵な方です。時代を超えてもとても美しい。

 博が独立を夢見ていたのには驚きましたが、やはり有能な働き手なだけにそういうことも最初から考えていたのですね。父親の退職金ではなく自分のお金でその夢をいつかタイミングのいい時に叶えてほしいです。

 タコ社長がとても困っていたので、なんとかこういう結論になってホッとしました。寅次郎の無責任さにはそれもまた驚くものがありましたが、40歳手前でも子供のような寅の表情などをみていると憎めず、可愛らしく見えました。台本の解釈も演出も素晴らしい。

 ことをまとめたのはさくらの博への言葉がけでしたが、さくらは実に優秀な女性ですね。博とさくらの夫婦はみているこちらが憧れてしまいます。独立心があり美しいものを感じることのできる感性と知性や教養を持つ博。そして頭が良く優しくて器の大きいさくら。

 いつでも当事者や相手のことそして何より、その周りにいる人たちのことを最も気に掛けるさくらの人間性には学ぶべきことが多いと常に感じています。

 このさくらを何よりも大事にする寅。寅もさくらも互いが心の支えになっていることが、笑顔の奥から痛いほど伝わってきました。どんなことがあっても、寅とさくらが会えた時には心底笑って子供のように再会を喜びあっている。それはかけがえのない家族のもの、そのものですね。

映画『男はつらいよ 純情篇』まとめ

 寅とさくらの兄弟の絆と愛の深さに、心温まる作品でした。

 故郷というものは……ここには、これを観た全ての人のオンリーワンの言葉が入る、そんなことを思わせる映画です。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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