タイのチェンマイを舞台にした、プールのあるゲストハウスに集まる人々の6日間を描いたほのぼのとした人間ドラマ。
自然体で生きる個性的な5人のシンプルライフの心地よさを、堪能できる作品になっています。
日本映画『プール』のあらすじ・キャスト・感想をまとめてみました。
(トップ画像公式ページより)
『プール』あらすじ(ネタバレ)
4年前に祖母に娘のさよを預けてタイのチェンマイに旅立って行った母に会うため、さよは現地にやってきます。
チェンマイの小さなプールのあるゲストハウスで働く母のところへ行ってみると、そこにはゲストハウスのオーナー菊子と、お手伝いの市尾そしてタイ人の少年シッテイチャイ・コンピラが同居していました。
少年の存在をすぐには受け入れられないさよ。菊子や市尾とのふれあいの中で徐々に心が解放され、さよは京子に自分のことを日本に置いていったのに、なぜタイでその少年と暮らしているのかを尋ねます。
すると京子は少年と暮らしているのは、病気で余命宣告をされている菊子が、見捨てられた者たちを放っておけないところがあり、その想いを大切にして尊重したいという気持ちから、菊子の代わりにみてあげているとのことでした。
そしてさよを日本に置いていったのは、京子の勝手なさよへの解釈でさよの気持ちをわかっているつもりになっていただけで、本当はわかっていなかったことに京子は気づきます。一緒にいるときに相手の気持ちが見えなくなっていたのは、京子の方でした。
6日間の旅の間に母子はお互いの気持ちに向き合うことができ、さよはチェンマイをあとにするのでした。
『プール』キャスト・スタッフ紹介
公開日:2009年9月12日
上映時間:96分
《原作》桜沢エリカ
《監督》大森美香
《エグゼクティブプロデューサー》奥田誠治
《企画》霞澤花子
《キャスト》小林聡美 【京子役】ゲストハウスで働いている
《キャスト》加瀬亮 【市尾役】ゲストハウスで働いている
《キャスト》伽奈 【さよ役】京子の娘
《キャスト》シッテイチャイ・コンピラ 【ビー役】タイ人の少年
《キャスト》もたいまさこ 【菊子役】ゲストハウスのオーナー
『プール』感想(評価)
観ていてとても癒されました。タイの景色の中で自由に暮らす平和を愛す人々。ここ最近では感じることのできなかった、のんびりとした解放感のある自由な時間を、登場人物と一緒に過ごしているような気持ちになれて、本当に心地の良い作品でした。
タイの子供たちの抱える孤児の問題も優しく絡めながら、結論を出すのではなく当たり前の幸せを本人の意思や価値観を尊重しながら、互いを信頼し合い繋げていく、こんなふうに毎日を大切に重ねていけることの素敵さを改めて感じました。
作品の中には食事をとる場面がたくさん出てきますが、どのシーンも実にかけがえのない一瞬です。普通に見える、この普通さの中に登場人物の想いがたくさん隠れていて、それを説明したり強制しない。市尾が京子とさよを羨ましく思い、眺めていた姿はとても好きです。
そして菊子の最期にはハッとしました。さよが日本に帰るのを菊子が見送る時、嫌な間と空気の止まった感じを映像で出していたのは実にリアリティがあり、実際に亡くなる直前にその人に会った時の印象を映し出していて、思わず体が緊張してしまいました。
そういった重たい現実は、軽やかにさらりとやってくるので、その時は何が起こっているのかわからないのですが、しばらく経ってからどうしようもなく悲しくなる経験は誰しも持っていることと思います。
また菊子が捨てられている生き物を見ると、どうしても自分のところで引き取りたくなってしまい、ある日また一匹の犬を拾ってきた時の、その犬を見る菊子(もたいまさこ)の表情は、菊子の悲しみの全てが現れているようでした。とても印象的なシーンです。
京子(小林聡美)のギターの弾き語りもとても素敵で、一緒に歌ってしまうほどでした。とても心地のいい映画でした。
『プール』まとめ
まるで同じ空間にいるかのような思いにさせてくれるこの作品。
今だからこそゆっくりと一人旅に出ているような気分に、この映画を通して浸ってみるのもオススメです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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