下町人情喜劇『男はつらいよ』第9作。
結婚適齢期の娘の結婚に、心配でなかなかOKを出せないでいる父と娘の物語が主題となっている作品です。
寅次郎演じる渥美清のアドリブに、高見歌子演じる吉永小百合が素で笑ってしまっているシーンも観ることができる貴重な映画になっています。
映画『男はつらいよ 柴又慕情』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 柴又慕情』概要
公開日:1972年8月5日
上映時間:108分
配給:松竹
観客動員数:188万9000人 (前作は92万6000人)
配給収入:5億1000万円 (前作は2億5000万円)
ロケ地…金沢(石川県) 、東尋坊 (福井県) 、多治見 (岐阜県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…佐藤公信
映画『男はつらいよ 柴又慕情』あらすじ
とらやに帰ると入り口に「貸間」ありの札がかけてあるのを見て、怒って飛び出していく寅次郎は、近くの不動産屋を回り部屋を探します。しかしひとつだけあった要望に叶う部屋は、行ってみるとなんととらやだったのです。
ケンカになって旅に出た寅次郎は、そこで旅行をしている女性三人組と出会います。味噌田楽をごちそうしてもらったお礼と言われ写真をとらせると一気に仲良くなり、各地をともに回ることになりました。寅次郎と楽しいひと時を過ごした三人。
しばらくして三人はとらやを訪ね、その中のひとりでどこか寂し気な高見歌子に、寅次郎は心を奪われてしまいます。歌子は父・修吉とのぎこちない関係に悩んでいて、「本当の幸せ」について真剣に考えこんでいたのです。
寅次郎はそんな彼女にどうアプローチしていくのでしょうか。
映画『男はつらいよ 柴又慕情』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
高見歌子…吉永小百合 《マドンナ》
仲良し女3人組でよく旅行をしているOLです。最近母を亡くし、父と二人暮らし。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…松村達雄
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
中小企業の社長の大変さをとらやに来てはこぼしています。子だくさんの父親でもあります。
諏訪満男…中村はやと
博とさくらの一人息子です。
高見修吉…宮口精二《ゲスト》
適齢期の娘を手放すことができない小説家の父親です。妻とは最近離婚し、娘と二人暮らし。
周旋屋…佐山俊二《ゲスト》
寅次郎の「貸間」騒動のときの不動産屋です。
映画『男はつらいよ 柴又慕情』感想(評価)
高見歌子というよりも、吉永小百合の可愛らしい健気な魅力が詰まった内容だったように思います。山田監督は役者に合わせた宛て書きをするそうですが、これもまた魅力的でしたね。
5年間ともにいて結婚を悩んでいた陶芸家の恋人がいたことも、他の役者だったらきっと寅次郎をだましているように感じてしまうものも、吉永小百合さんは嫌味なくまっすぐな人として、役を通して観る人に感じさせています。素敵です。
恋人を諦めないで結婚を選んだ歌子が、実に華やかで幸せそうで良かったです。
映画『男はつらいよ 柴又慕情』まとめ
マドンナの吉永小百合さんの魅力を、存分に観ることのできるお話でした。
穢れなく美しく、そんな娘だからこそ父親はいろんな心配を想像してしまっていたのですね。しかも自分と同じような仕事なだけにというのも、あったかもしれません。
さくらや博のアドバイスが、観ているこちらもとても為になりました。これから結婚をする方には特におすすめの一作です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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