下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第11作。
人並みの暮らしや家族のぬくもりの貴重さとかけがえのなさを感じる、悲しく切ないお話になっています。
リリーが登場する最初の作品で、とても深い内容です。
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』概要
公開日:1973年8月4日
上映時間:99分
配給:松竹
観客動員数:239万5000人 (前作は211万1000人) …シリーズ歴代2位
配給収入:9億1000万円 (前作は7億6000万円)
ロケ地…網走(北海道)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆、宮崎晃
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…佐藤公信
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』あらすじ
雨の日に満男を迎えに行ったさくらは、帰り道にある家でピアノの音を聞きます。満男に習わせたいと、かつてから憧れていたピアノが欲しいことをとらやに帰ってからこぼすさくら。するとそれを知った寅次郎は、急いでピアノを買ってきました。しかしそれはおもちゃのピアノ。
とらやのみんなが寅次郎に気を遣う中で、いつものようにタコ社長が話をまぜっかえし、寅次郎はそのまま旅に出てしまいます。
行きついた先は北海道の網走。そこでバイをしていると「全然売れないじゃないか」っといって旅回りの三流歌手、リリーが寅次郎に声を掛けます。同じ浮き草稼業のふたりはすぐに意気投合し、またそれぞれの仕事に戻っていきました。
リリーと話した寅次郎は地道な暮らしをしようと、酪農業に携わりたいと働き始めました。しかし数日で体調を崩し看病してもらうも、さくらに迎えに来てもらって柴又に帰るのでした。
するとそこへリリーがやってきて寅次郎との再会を喜びます。次第に自分の人生のやるせなさからリリーは「とらや」を飛び出していってしまうのです。
心配して追いかける寅次郎。ふたりの行方は……。
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
リリー松岡(松岡清子)…浅丘ルリ子 《マドンナ》
昔レコードを出したが、今は全国のキャバレー回りをして歌を歌う旅回りの歌手です。寅次郎と最初に出会いは、北海道の網走でした。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…松村達雄
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
中小企業の社長の大変さをとらやに来てはこぼしています。子だくさんの父親でもあります。
諏訪満男…中村はやと
博とさくらの一人息子です。
登…津坂匡章
寅次郎の舎弟で弟分です。寅次郎に憧れていて、一度は堅気になろうと旅行会社に勤めました、テキヤに戻りました。青森県八戸出身です。
源公…佐藤蛾次郎
帝釈天の寺男をしています。
栗原久宗…織本順吉《ゲスト》
北海道の酪農業のオーナーです。
石田良吉…毒三太夫《ゲスト》
リリーと結婚し、新松戸に清寿司をオープンさせたすし職人です。
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』感想(評価)
実に切なく悲しい物語でした。今回は寅次郎よりもつらい生活をしているひとりの女性リリーがマドンナでしたが、その境遇に寅次郎の愛が深く深く感じられました。
最初に出会った時から、訳ありなんだとリリーのことを心配する寅次郎の人間を見抜く目の力、そしてリリーが自暴自棄になっている時の声掛けは、一つ一つにこれまでの寅次郎の生き様が出ていて、胸が締め付けられる思いでした。
またリリーが実の母親にお金をせびられているところも、その母親に対して「嫌いだ」っと言ったのは、リリーの立場に立ってみればみるほど涙が溢れてきてしまいます。
リリーの回は他のマドンナの時とは違う良さがあります。思い出すだけで泣けてきますね。
映画『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』まとめ
ちょっとすると壊れてしまいそうな生き方をしているリリーと、それを心底心配する寅次郎の切なく悲しい物語でした。
深い深い愛を感じる作品です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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