今回は2008年に公開された日本映画『容疑者Xの献身』を紹介します。
この作品は福山雅治さんが主演したテレビドラマ『ガリレオ』の劇場版です。
ガリレオシリーズの中でも特に評価が高いこの作品は、ストーリーの悲しさと、主題歌『最愛』とのマッチングが切ない傑作です。
数ある邦画の中でも、「何度観ても泣ける作品」なので、自信を持っておすすめします!
『容疑者Xの献身』のキャスト紹介
湯川学 :福山雅治
内海薫 :柴崎コウ
草薙俊平:北村一輝
石神哲哉:堤真一
花岡靖子:松雪泰子
花岡美里:金澤美穂
『容疑者Xの献身』のあらすじ
石神(堤真一)は冴えない数学教師です。
石神は学者になりたかった夢を絶たれてからというもの、既に生きる気力を失っていました。
「生きていても意味がない」
ある日石神が首を吊ろうとしていると、玄関のチャイムが鳴りました。
出鼻をくじかれた石神が玄関のドアを開けると、そこには隣室に引っ越して来た母と子が立っていました。
引っ越しの挨拶にやって来た親子の笑顔に、石神は死ぬことを踏みとどまったのです。
以来、母・靖子(松雪泰子)に好意を持った石神は、靖子が働く弁当屋へ通いながら、密かに隣室で親子を見守り続けていました。
親子は母子家庭でしたが、娘の美里(金澤美穂)も顔を合わせる度、明るく石神に挨拶をしてくれます。
石神は生まれて初めて、人に癒されるということを知りました。
そんな隣人との日常に、いつしか石神は幸福感を覚えていたのです。
そんなある日、事件が起こります。
靖子の元夫・富樫が親子の家へ押し入り、靖子から金を巻き上げ、血が繋がっていない美里に「売り飛ばす」と暴言を吐いたのです。
それに我慢できなかった美里は、思わず富樫の頭を殴りつけました。
逆らった美里に富樫が暴力を振るうのを靖子が止めに入り、とっさにこたつの電気コードで首を絞めてしまいます。
暴れる富樫を美里が抑えつけ、気がつくと二人は富樫を殺してしまっていたのです。
隣室でその物音を聞いてしまった石神は、状況を察して二人の部屋を訪ねます。部屋に入り冷静に遺体を観察した石神は、二人の罪を隠ぺいしようと決心するのでした。
その後石神は遺体を処理し、親子にアリバイ作りの指示を出しました。
そして自分の「論理的思考」を活かして、警察の捜査を翻弄します。
「警察は自分の予測の範囲内で捜査をするだけだ」という自信が、石神にはありました。
例え靖子を容疑者としても、アリバイを崩せなければ逮捕はできません。
石神も隣人として事情を聞かれましたが、それも石神にとっては予想通りの展開でした。
警察は石神のことを、疑う様子すらありません。
しかしその計画の前に立ちはだかったのが、湯川(福山雅治)でした。
湯川は事件関係者の中に大学の同級生・石神の名前を聞き、懐かしさも有って石神の部屋を訪ねました。
その後、石神が隣人の罪を隠ぺいしていると、気づいてしまいます。
何故なら、湯川にとって石神は、唯一無二の「天才と認める人物」だったからです。
そこから湯川が、石神の作ったアリバイトリックを暴いていきます。
「暴いたところで誰も幸せになれない」と言う石神。
しかし湯川は、事実を明らかにする選択をするのでした。
『容疑者Xの献身』の感想
この映画では、ドラマ版で絶対に見られない主人公・湯川の人間らしい部分が見られます。
その理由は、石神が湯川にとって唯一無二の人物だったからなのです。
普段は物理的、論理的である湯川の、「残念で悲しい」「辛い」という感情が露わにされていて、とても新鮮でした。
一方石神を演じる堤真一さんは、役柄が「冴えない数学教師」だったため、役作りで自分の髪の毛を抜いたという噂もあった程です。
ラストの場面では、とにかくそんな石神に泣かされてしまいます。
何故自分の人生を投げ出してまで、親子を守ろうとしたのかというと、「恋をしたから」だけではありません。
その根本理由は、石神の夢を失くした人生に有ると思います。
生きる意味を失くしていた石神は、親子の幸せを守ることで、逆に生かされているとさえ思えたのではないでしょうか。
そして切ない石神の想いを語っているかのように、エンドロールで流れる主題歌は、柴崎コウさんが歌う『最愛』です。
曲の始まりの部分の歌詞、「夢のような人だから、夢のように消えるのです」の部分と、サビの「愛さなくていいから、遠くで見守ってて」の部分で、更にグッと来てしまいます。
主役の福山雅治さんが作った歌を、出演者の柴崎コウさんが歌うという演出も、この作品を皆で作った感じが出ていて良いですよね。
まとめ
今回は『容疑者Xの献身』を紹介しました。
この作品は、ただの人気ドラマの延長ではなくて、何度見ても、何年経っても名作だと思わせてくれる作品です。
まだ観たことがない方は、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
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