映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』あらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめ

映画

 下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第22作。

 女難の相があると言われた寅次郎が、「今昔物語」を例えに“人生の儚さ”の教えを聞いて、改心しようとするお話です。

 映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。

映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』概要

公開日:1978年12月27日

上映時間:104分

配給:松竹

観客動員数:191万5000人 (前作は189万7000人) 

配給収入:11億6000万円 (前作は12億2800万円)

 

ロケ地…木曽福島(長野県)、大井川(静岡県)

 

【スタッフ】

監督・原作…山田洋次

脚本…山田洋次、朝間義隆

撮影…高羽哲夫

音楽…山本直純

美術…出川三男

映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』あらすじ

 旅の道中、静岡県の大井川にかかる蓬菜橋を渡っていると、向い側から歩いてきた和尚に“女難の相”があると言われた寅次郎。気にしながらも途中で出会った、失恋して泣いていた小島瞳を慰め、帰りに少しばかりお金を渡すと今晩の宿代がなくなってしまったことに気付きます。

 バスに乗ると偶然博の父・飈一郎に会い、同じ宿に泊まらせてもらうことに。芸者を呼んで盛り上がっていましたが、ある晩に飈一郎から「今昔物語」の話を教わり、これを読むと“人生の儚さ”について感じ、人の一生について考えさせられるという物語への想いを伝えられます。

 それを聞いた寅次郎は「コンニャク物語をお借りしていきます」と、一足先に朝早く宿を出て柴又に帰りました。とらやで飈一郎から教えてもらったことを話し、明日から心を入れ替えると断言した寅次郎。

 翌朝みんなに告げた時間に店先に出てみると、寅次郎はひとりの美しい女性と出くわします。しかし……。

映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』キャスト紹介

車寅次郎…渥美清

 14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。

 

諏訪さくら…倍賞千恵子

 寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。

 

水野早苗(旧姓:荒川早苗)…大原麗子 《マドンナ》

 職安の求人募集を見て、とらやに勤めることになった小樽が地元の女性です。夫と別居中で美容院を営む友人の家に下宿しているときに、とらやでの仕事を決めました。

 

御前様…笠智衆

 柴又帝釈天のご住職です。

 

車竜造(おいちゃん)…下条正巳

 寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。

 

車つね(おばちゃん)…三崎千恵子

 おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。

 

諏訪博…前田吟

 共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。

 

小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄

 とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。

 

諏訪満男…中村はやと

 博とさくらの一人息子です。

 

源公…佐藤蛾次郎

 帝釈天の寺男をしています。

 

添田肇…室田日出男《ゲスト》

 高校の教師をしている早苗の従姉妹です。幼い頃から、早苗を兄のように見守ってきましたが、実は昔から恋しく思っていました。

 

小島瞳…泉ピン子《ゲスト》

 静岡県川根本町の井川ダムで失恋して泣いている時に、寅次郎と出会い食堂で愚痴を聞いてもらい、ゆであずきをごちそうになりました。

 

諏訪飈一郎…志村喬《ゲスト》

 博の父で元北海道大学名誉教授です。研究一筋の父に博が反発して家出し、それから8年後さくらとの結婚式で再会を果たしました。寅次郎と仲良し。第8作『寅次郎恋歌』では“家庭の大切さ”を、第22作『噂の寅次郎』では“人生の儚さ”を寅次郎に教えています。

映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』感想(評価)

 志村喬さん演じる飈一郎の教えには、毎回感動させられます。私も「今昔物語」を改めて読まなくてはと思いました。飈一郎ほどの博識な人物も、こうして昔の物語から自分の生き方について謙虚に考えているのだと思うと、反省の一文字に尽きます。素晴らしい人物です。

 またそれをいい加減なようでいてしっかりと聞き改心しようとする寅次郎のまっすぐさも、彼がそういったものをこれまでずっと求めていたのではないかと思わされるほど、まさに水を得た魚のようで、飈一郎との出会いは寅次郎にとってもかけがえのないものだったと感じます。

 このふたりのシーンは大好きで、特に今回は「今昔物語」の話に入る前、寅次郎のカバンの上にふたりの帽子が並べて置いてありましたが、なんだかとてもあたたかい気持ちになりました。

 こういったさりげないところまで行き届いた演出は、繰り返し観る者にも楽しみを与えてくれていていいですね。このふたりは互いに必要をしあっている。

 また寅次郎のことを間接的に感じ取り、笑みがこぼれる飈一郎のさりげない瞬間は、何度思い出してもいいものです。飈一郎という人間をきちんと生きているからこそ、とても大切にしているからこそ出てくるお芝居で、最高の俳優さんだと改めて思いました。

 マドンナの大原麗子さんも実に儚げで、この作品にぴったりです。

映画『男はつらいよ 噂の寅次郎』まとめ

 儚く美しい、深い愛をさらりとしとやかにみせてくれた映画でした。

 飈一郎の教えをテーマに、今回もまた人生について寅さんと一緒に考え感じることのできた物語だったように思います。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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