映画『男はつらいよ 望郷篇』あらすじ・キャスト・感想(評価)まとめ

映画

 下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ第5作です。

 作品を締めくくろうと、かつてテレビドラマ版に出演していたキャストを総動員しましたが、本作があまりの人気で観客動員数も多かったため、シリーズが延長されることになった一作になりました。

 『続・男はつらいよ』(第2作)以来の、山田監督のよる『男はつらいよ』。

 映画『男はつらいよ 望郷篇』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。

映画『男はつらいよ 望郷篇』概要

公開日:1970年8月26日

上映時間:88分

配給:松竹

観客動員数:72万7000人 (前作は48万5000人)

配給収入:1億8000万円 (前作は1億2000万円)

 

ロケ地… 札幌・小樽 (北海道)、浦安 (千葉県)

 

【スタッフ】

監督・原作・脚本…山田洋次

撮影…高羽哲夫

音楽…山本直純

美術…佐藤公信

映画『男はつらいよ 望郷篇』あらすじ

 昔お世話になった北海道の正吉親分が、危篤で寅次郎に会いたがっているという報告を弟分の登から聞いた寅次郎は、登とふたりで北海道へ見舞いに行きました。

 派手にいろんなことをやっていた親分が息子に会いたいといい、その最後の頼みを叶えるため寅次郎は息子・澄雄を説得しに行きますが、拒絶されてしまいます。

 生まれたときには父はそばにおらず、物心ついてから一度は本当の父に会いたいと、実に父に会いに行った澄雄は、そこで女性を粗雑に乱暴に扱う父親の姿を垣間見て、衝撃を受け絶望してしまったのです。それから澄雄は機関手として額に汗して地道に働くことを決めたのでした。

 寅次郎はすぐに報告しようと親分に電話をしますが、その電話で正吉親分が孤独にひとりで死んでいったことを知らされます。

 自分の生き方を見つめなおす寅次郎。柴又に帰り、人並みの地道な暮らしをしようと職探しを始めると……。

映画『男はつらいよ 望郷篇』キャスト

車寅次郎…渥美清

 14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤです。

 

さくら…倍賞千恵子

 寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。

 

三浦節子…長山藍子 《マドンナ》

 浦安の豆腐屋の娘です。

 

御前様…笠智衆

 柴又帝釈天のご住職です。

 

車竜造(おいちゃん)…森川信

 寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。

 

車つね(おばちゃん)…三崎千恵子

 おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。

 

諏訪博…前田吟

 共栄印刷の職工のひとりです。さくらと息子・満男の3人暮らしです。

 

小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄

 中小企業の社長の大変さをとらやに来てはこぼしています。

 

諏訪満男…中村はやと

 博とさくらの一人息子です。

 

川又登…津坂匡章

 寅次郎の弟分です。八戸出身。

 

源吉…佐藤蛾次郎

 帝釈天の寺男です。

 

三浦富子…杉山とく子 《ゲスト》

 浦安の豆腐屋を営む女性で、節子の母です。

 

木村剛…井川比佐志 《ゲスト》

 節子の婚約者で、国鉄の機関手をしています。

映画『男はつらいよ 望郷篇』感想(評価)

 今回のお話は実に可哀そうでした。とらがようやく地道な暮らしを選べるかと思いましたが、まさかこんな展開になるとは。

 状況によってはそれも可能だということがわかりましたが、それが難しいということも。それだけにさくらが涙するのも本当によくわかる作品でした。

 ひとつひとつの台詞のキーワードに愛が込められている。山田監督の演出はこういったところも物凄く丁寧です。帝釈天の前でのとらとさくらの最後のシーンは、涙をこらえるが必死でした。あのシーンのためにこの作品の全てがあったように感じる場面でしたね。

 寅好きのファンは、この豆腐屋のことを本当に悪い奴らだと感じたかもしれません。作品を観すすめれば観すすめるほどに、寅の家族の立場でこのシリーズを観てしまう。ラストシーンで登に徐々に変わるんだよっと言った寅の台詞は、なんだか心に残りました。

映画『男はつらいよ 望郷篇』まとめ

 やくざな性格の男が地道に生きることに目を向けた作品になっていました。

 理想と現実の中で葛藤しつつも、明るく思いっきり生きる寅の姿に思い出すと今も胸が熱くなる映画でした。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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