映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』あらすじ・キャスト・感想(評価)・まとめ

映画

 下町人情喜劇「男はつらいよ」シリーズ第17作。

 お金や人との付き合い方、そして生きる姿勢などが詰め込まれているお話になっています。横山大観がモデルになっている日本画家の登場も見どころのひとつです。

 映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』概要

公開日:1976年7月24日

上映時間:109分

配給:松竹

観客動員数:168万5000人 (前作は213万1000人) 

配給収入:9億7400万円 (前作は11億9100万円)

 

ロケ地…龍野(兵庫県)

 

【スタッフ】

監督・原作…山田洋次

脚本…山田洋次、朝間義隆

撮影…高羽哲夫

音楽…山本直純

美術…出川三男

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』あらすじ

 上野の居酒屋で飲んでから帰ろうとしていた寅次郎は、そこで無銭飲食をして警察を呼ばれそうになっているみすぼらしい身なりの老人を助け、とらやに連れてきてしまいました。老人の図々しい振る舞いに頭に来たとらやの人々。ついに堪忍袋の緒が切れてしまいます。

 それでもそのことに気付かない老人はウナギを食べた代金をとらやに支払わせるなど、傍若無人ぶりを発揮。

 行き過ぎた振る舞いに寅次郎はその老人に話をすると、自分がいる場所が宿屋ではなかったことを知った老人は、迷惑をかけてしまったことを詫びそのしるしに一枚の絵描きました。

 それを神保町の店に持って行って売るように言われた寅次郎。気が進まない中そこへ行き値段を聞くとなんと大金に。その老人がゆうめいなに日本画家・池ノ内青観であることを知るのです。

 その一件でとらやでは騒動となり、寅次郎は旅に出ます。すると旅先で青観と再会し、ともに兵庫県龍野の市長の接待を受け、芸者のぼたんと意気投合。

 柴又に帰ってくると、そのぼたんが東京にやってきますが、彼女がきた目的は客であった鬼頭という男に200万円を貸したところ、踏み倒されそうになっているというのです。

 そこで寅次郎のとった行動は、殴り飛ばすのではなく…。

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』キャスト紹介

車寅次郎…渥美清

 14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。

 

諏訪さくら…倍賞千恵子

 寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。

 

ぼたん…太地喜和子 《マドンナ》

 気っぷの良い龍野芸者のです。寅次郎と気が合い、情に弱く厚い人柄。

 

御前様…笠智衆

 柴又帝釈天のご住職です。

 

車竜造(おいちゃん)…下条正巳

 寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。

 

車つね(おばちゃん)…三崎千恵子

 おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。

 

諏訪博…前田吟

 共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。

 

小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄

 とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。

 

諏訪満男…中村はやと

 博とさくらの一人息子です。

 

源公…佐藤蛾次郎

 帝釈天の寺男をしています。

 

池ノ内青観…宇野重吉《ゲスト》

 日本画家として有名な人物です。上野の居酒屋で無銭飲食になりそうなところを、寅次郎が代わりにお金を支払って助けたことで知り合いました。モデルは横山大観。

 

志乃…岡田嘉子《ゲスト》

 若い頃に池ノ内青観と大恋愛をしていただろう老婦人です。気丈な性格だが思いの強い女性。龍野で華道と茶道を教えながら、今も独り身で暮らしています。

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』感想(評価)

 日本画家の池ノ内青観は、池之端の横山大観がモデルだそうですが、この作品を観て横山大観についてもっと知りたくなりました。

 「絵を描くことは僕の仕事で、金を稼ぐためのものじゃない。絵描きが絵を描くってことは、真剣勝負なんだよ。ちょろちょろっと書けるか。」この青観の台詞は芸術家や職人の信念を語っている言葉でハッとさせられました。

 また青観演じる宇野重吉さんの名優っぷりはすごかったです。上野で無銭飲食になりそうでとらやに寝泊まりしていたときは、本当に路上生活者かと思うほどでしたが、そのあと青観としての登場は実に自然に見せられてしまって、想像を絶しました。

 そして何より有名な画家だとわかった後も、態度を変えないで自分スタイルで青観と接している寅次郎の姿と人付き合いの仕方、絵が大金に変わってもそれをきちんと返しに行き、菓子折りまで添えるさくらやとらやの人々の生き方や人との接し方。これはとても勉強になります。

 こんな生き方ができる人間になりたいと、心から思う作品でもありました。本当に素敵な人たちです。

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』まとめ

 とても為になる映画でした。

 生きる姿勢や人付き合いの仕方を伝えてくれる話の展開になっていて、大事な何かを忘れてしまったような時やどうしていいかわからないでいる時、もう一度観返したい作品になりました。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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