下町人情喜劇『男はつらいよ』シリーズ29作。
清楚で内気な女性に秘められた情熱が描かれた、男女の関係がしっとりと寅次郎に働きかける大人の物語になっています。
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』のあらすじ・キャスト・感想(評価)をまとめてみました。
目次
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』概要
公開日:1982年8月7日
上映時間:110分
配給:松竹
観客動員数:139万3000人 (前作は144万8000人)
配給収入:10億4000万円 (前作は10億1000万円)
ロケ地…丹後伊根(京都府)、京都(京都府)、彦根(滋賀県)
【スタッフ】
監督・原作…山田洋次
脚本…山田洋次、朝間義隆
撮影…高羽哲夫
音楽…山本直純
美術…出川三男
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』あらすじ
京都の鴨川を歩いていて、下駄の鼻緒が切れてしまい困っている老人を見つけた寅次郎。手拭いを裂いて直してあげたその相手は、人間国宝の狩野作次郎でした。
お礼をしたいと酒をごちそうになり、酔って狩野作次郎の自宅に泊まることに。すると翌朝、そこには未亡人で娘を実家の母に預け住み込みで働く美しい女性・かがりがいることを知り、しばらく居ついてしまいます。
ある日狩野作次郎の一番弟子で売れっ子の蒲原が、作次郎に挨拶にやってきました。彼はかがりと恋仲でしたが、他の女性の家の土地でアトリエを作らせてもらえるというので、その女性と結婚したい旨の許しを作次郎に得に来たのです。
すぐに蒲原を追い返す作次郎。作次郎はかがりが愛しているにもかかわらず追いかけないでいることも叱りますが、かがりはこれらを受けて実家に帰ってしまいました。それを心配した作次郎は、寅次郎にかがりがどうしているか見てきてほしいと言われます。
するとかがりは優しくしてくれる寅次郎に心惹かれていってしまい……。
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』キャスト紹介
車寅次郎…渥美清
14歳の時に父親(今は他界している)とケンカ別れして家を出てから、20年間故郷に帰らずに旅に出ていましたが、第1作目で帰ってきて以来、旅に出たり帰って来たりを頻繁に繰り返すようになりました。異母兄弟の妹さくらがいます。家業はテキヤ。
諏訪さくら…倍賞千恵子
寅次郎の異母兄弟です。博と息子の満男と3人で暮らしています。
かがり…いしだあゆみ 《マドンナ》
狩野作次郎の家に住み込みで働いている女中です。夫とは死別し娘を丹後にある実家の母に預けています。狩野作次郎の一番弟子・蒲原と交際していましたが、内気ゆえに身を引いてしまい作次郎に指摘されます。
御前様…笠智衆
柴又帝釈天のご住職です。
車竜造(おいちゃん)…下条正巳
寅次郎の父親の弟です。寅次郎とさくらにとっては、叔父にあたります。さくらの育ての親。和菓子「とらや」の店主です。3代目おいちゃん。
車つね(おばちゃん)…三崎千恵子
おいちゃんの奥さんです。寅次郎とさくらにとっては叔母にあたります。実の子供はできませんでしたが、さくらの育ての親です。和菓子「とらや」をおじちゃんと一緒に切り盛りしています。
諏訪博…前田吟
共栄印刷の職工のひとりです。狭いながらも自分の家を買い、さくらと息子・満男の3人暮らしです。実家は岡山県。
小倉梅太郎(共栄印刷社長・タコ社長)太宰久雄
とらやと親戚付き合いをしている、とらやの隣にある印刷工場の社長です。手形の期限に追われては、中小企業の大変さやつらさをこぼしています。妻とはお見合いで結婚し、子だくさんの父親。
諏訪満男…吉岡秀隆
博とさくらの一人息子です。
源公…佐藤蛾次郎
帝釈天の寺男をしています。
狩野作次郎…片岡仁左衛門《ゲスト》
京都に住む人間国宝の陶芸家です。鴨川べりで寅次郎に下駄の切れてしまった鼻緒を直してもらったのがきっかけで仲良くなりました。
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』感想(評価)
寅さんシリーズではあまり観ないしっとり感でした。崩れて風で吹き飛んでしまいそうなかがりさんの独特な色気が、危うさも感じさせていたように思います。あまりにも儚げ。内気であまり感情を表に出さない女性だからこそ、情熱が表に出てきた時にはこんな色に染まるのですね。
紫陽花は曇りや雨の方が美しく見え人々の目に潤いを与えますが、この花にぴったりのマドンナでした。
また狩野作次郎がかがりにちゃんと叱ったことから、彼の温かい愛情が伝わってきました。
そしてまたもや寅次郎とインテリの取り合わせで、寅次郎の人間力の素晴らしさも感じることができました。困っている人がいたら、ちょっとした小話をしながら下駄の鼻緒を持ち合わせの者でサッと直してやる。こんな粋なところ真似してみたいですね。
映画『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』まとめ
いつもの寅さんとは少し違う、しっとり大人の色気をハラハラしながら楽しみたい方必見の一作になっています。
笑いあり色気あり、その対比もまたおもしろいですね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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