ガールズバンドyonigeの楽曲『ワンルーム』をベースに、脚本を書き下ろした短編映画です。俳優の山田孝之が企画協力に加わって制作されました。
14年前の高校時代に付き合っていた男女が再会したことにより、過去と現在が重なって今という瞬間を生みだし、お互いがそれをじっくり見つめ合っていく物語。
空白の時間の存在が、全く新しい人との出会いを思わせるような何とも言えないぎこちなさから、懐かしさにふたりが少しずつ距離感を縮めていく様子に、胸が高鳴る作品です。
映画『点』のあらすじ、キャスト、感想(評価)をまとめてみました。
映画『点』 概要
上映日:2017年9月23日 シネマート新宿にて1週間限定公開。
上映時間:26分
映画『点』 あらすじ
田舎町の熱い夏のある日、父の他界後に実家の床屋を継いだ理容師の高志は、幼馴染で高校生の時に付き合っていた恋人・ともえと床屋の前で、14年ぶりに再会しました。
ぎこちない会話の中、ともえは結婚式があるので襟足を剃ってほしいと話します。店の中に入ると、次第に会っていなかった時間を埋めるように、少しづつ昔の話や今の話をし始めるふたり。
そこへ高志にお店のお客さんから電話がかかってきます。ともえのもとにも何通かのメールが。ともえはメールを見て顔を曇らせます。
いざ襟足に取り掛かるところで、ともえの携帯が激しく震えます。鳴りやまない電話にともえはしびれを切らせ、店の外に出て行きその相手と話をするのでした。
外で困って感情的になっているともえの様子に気付く高志。高志は戻ってきたともえに優しく言葉をかけてやるのでした。
映画『点』 キャスト紹介
【出演者】
高志…山田孝之
父が他界後、田舎町で理髪店を継いでいます。
ともえ…中村ゆり
高志の同級生で、高校時代の恋人です。
ともえの母…天光眞弓
【スタッフ】
監督・脚本…石川慶
『愚行録』などと手掛けた監督です。
映画『点』 感想(評価)
夏の日のやるせない女性の苦悩が描かれていて、暑く湿った空気と匂いが感じられるような作品でした。田舎町の夏の設定が、観ているものをこの世界にじわじわ引き込んでいくようでした。
高志とともえの細かい演技のやりとりが決め手となっていて、映像では映し出されないふたりの背景になるものを存分に味わうことができました。
じっくり26分間ふたりのこれまでの時間に集中できる物語です。
ともえの汗ばんでいる姿は、麗しすぎず生々しさにも等身大の感じが残るところがよかったと思います。情緒が不安定で不幸に翻弄されている、一番に選ばれない女性の感じが出ていてリアルでした。
また高志の移りゆく心の様がよく感じ取れて、おもしろかったです。
映画『点』 まとめ
見ごたえのあるとてもよくできているショートムービーでした。
淡々とした人間ドラマが苦手な人でも、面白いと感じることができる長さで、入りこみやすい作品だったと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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